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2018年1月

4.2. 洞窟についての八なるものの経 786. (779)

【経典文】
 Saññaṃ pariññā vitareyya oghaṃ, Pariggahesu muni nopalitto;
 Abbūḷhasallo caramappamatto, Nāsīsatī lokamimaṃ parañcāti. (8)

【正田氏訳】
 〔心中の〕表象(想:概念・心象)を遍く知って、〔貪欲の〕激流を超え渡るように──諸々の執持〔の対象〕(所有物)に汚されない牟尼(沈黙の聖者)となり。〔貪欲の〕矢が引き抜かれた者は、〔気づきを〕怠ることなく行じおこなう者は、この世を、さらには、他〔の世〕を、〔両者ともに〕願い求めない。ということで──(8)

【文法的分解と単語訳】
(a)
  Saññaṃ(saññā:f.sg.acc.)「〔心中の〕表象(想:概念・心象)を」
  pariññā(parijānāti:v.ger.)「遍く知って」
  vitareyya(vitarati:v.3.sg.opt.)「超え渡るように」
  oghaṃ(ogha:m.sg.acc.)「〔貪欲の〕激流を」

(b)
  Pariggahesu(pariggaha:m.pl.loc.)「諸々の執持〔の対象〕(所有物)に」
  muni(muni:m.sg.nom.)「牟尼(沈黙の聖者)となり。」
  nopalitto=naとupalittoの連声(前語語尾aと後語語頭uが結合してoに変化)
   na(na:adv.)「ない」
   upalitto(upalitta < pp. of upalimpati:a.m.sg.nom.)「汚され」

(c)
  Abbūḷhasallo=Abbūḷhaとsalloのコンパウンド
   Abbūḷha(abbūḷha < pp. of abbahati:a.comp.)「引き抜かれた者は」
   sallo(salla:n>m(有財釈で性変化).sg.nom.)「〔貪欲の〕矢が」
  caramappamatto=caraṁとappamattoの連声(前語語尾ṁがmに変化)
   caraṁ(carant < ppr. of carati:a.m.sg.nom.)「行じおこなう者は」
   appamatto(a(pref.否定の意味)-p(挿入)-pamatta < pp. of pamajjati:a.m.sg.nom.)「〔気づきを〕怠ることなく」

(d)
  Nāsīsatī =Naとāsīsatīの連声(前語語尾aが脱落)
   Na(na:adv.)「ない。」
   āsīsatī (āsiṁsatīが韻律の関係で発音しやすいように変化したと思われる)(āsiṁsati:v.3.sg.pres.)「〔両者ともに〕願い求め」
  lokamimaṃ=lokaṁとimaṃの連声(前語語尾ṁがmに変化)
   lokaṁ(loka:m.sg.acc.)「世を」
   imaṃ(imaṃ:pron.m.sg.acc.)「この」
  parañcāti=paraṁとcaとitiの連声(一語目語尾ṁがñに変化、二語目語尾aと三語目語頭iが結合してāに変化)
   paraṁ(para:a.n.sg.acc.)「他〔の世〕を」
   ca(ca:conj.)「さらには」
   iti(iti:indecl.)「ということで」

[備考:略字・記号等]
    m. masculine 男性
    n. neutral 中性
    f. feminine 女性

    pron. pronoun 代名詞
    a. adjective 形容詞
    num. numeral 数詞

    ppr. present participle 現在能動分詞
    pp. past participle 過去受動分詞
    grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞

    v. verb 動詞
    adv. adverb 副詞
    conj. conjunction 接続詞
    interj. interjection 間投詞
    prep. preposition  前置詞

    pref. prefix 接頭辞
    suf. suffix 接尾辞

    1. the first person 一人称
    2. the second person二人称
    3. the third person三人称

    sg. singular 単数
    pl. plural 複数

    nom. nominative 主格
    acc. accusative 対格
    inst. instrumental 具格
    abl. ablative 奪格
    dat. dative 与格
    gen. genitive 属格
    loc. locative 処格
    voc. vocative 呼格
    abs. loc. absolute locative 独立処格
    abs. gen. absolute genitive 独立属格

    comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)の前側の語句であり、語基等のまま(数・格なし)であることを表す

    pres. present 現在
    aor. aorist アオリスト
    pf. perfect 完了
    fut. future 未来
    imper. imperative 命令形
    opt. optative 願望法
    cond. conditional 条件法
    pass. passive 受動詞
    caus. causative 使役動詞
    ger. gerund 連続体
    inf. infinitive 不定体
    pass. passive 受動詞
    caus. causative 使役動詞
    denom.  denominative 名動詞
    med. medium 為自言 = refl.  reflective 反照態

    / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す
     (例えばdat/gen.は、与格と属格両方の可能性があるということを表す)
    < 単語の成り立ちを後ろに記す
     (例えばsata < pp. of saratiは、sataはsaratiの過去受動分詞に由来することを表す)
    > 解釈や修飾語句による性の変化
     (例えばn>mは、本来中性だがここでは男性ということを表す)

    なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが、底本である国際版パーリ三蔵(第六結集版の改訂)に記載されている偈番号であり、二つめの括弧内の番号が、PTS版の偈番号である。

4.2. 洞窟についての八なるものの経 785. (778)

【経典文】
 Ubhosu antesu vineyya chandaṃ, Phassaṃ pariññāya anānugiddho;
 Yadattagarahī tadakubbamāno, Na lippatī diṭṭhasutesu dhīro. (7)

【正田氏訳】
 〔種々に対立する〕両極について、欲〔の思い〕を取り除くように──〔感官とその対象の〕接触(触:感覚・経験)を遍く知って、貪求なき者となり。〔まさに〕その、自己を難じる者が〔為す〕こと、それを為さずにいる者は──慧者は、諸々の見られ聞かれたもの(欲望の対象)に汚されない。(7)

【文法的分解と単語訳】
(a)
  Ubhosu(ubho:a.m.pl.loc.)「〔種々に対立する〕両」
  antesu(anta:m.pl.loc.)「極について」
  vineyya(vineti = vinayati:v.ger. / v.3.sg.opt.)「取り除いて / 取り除くように―」
  chandaṃ(chanda:m.sg.acc.)「欲〔の思い〕を」

(b)
  Phassaṃ(phassa:m.sg.acc.)「〔感官とその対象の〕接触(触:感覚・経験)を」
  pariññāya(parijānāti:v.ger. / pariññā:f.sg.instr.)「遍く知って / 遍知することで」
  anānugiddho (ananugiddhoが韻律の関係で長音化したと思われる)
  (ananugiddha = an(pref.否定の意味。aだが母音の前ではan)-anugiddha < pp. of anugijjhati:a.m.sg.nom.)「貪求なき者となり。」

(c)
  Yadattagarahī=Yadとattaの連声、attaとgarahīのコンパウンド
   Yad(ya:pron.n.sg.acc.)「〔まさに〕その」
   atta(atta = attan:m.comp.)「自己を」
   garahī(garahin:a.m.sg.nom.)「難じる者が〔為す〕こと」
  tad(ta:pron.n.sg.acc.)「それを」
  akubbamāno(a(pref.否定の意味)-kubbamāna < ppr. of kubbati = karoti:a.m.sg.nom.)「為さずにいる者は」

(d)
  Na(na:adv.)「ない。」
  lippatī(lippati < pass. of limpati:v.3.sg.pres. (韻律の関係で語尾が長音化したと思われる))「汚され」
  diṭṭhasutesu=diṭṭhaとsutesuのコンパウンド
   diṭṭha(diṭṭha < pp. of dasati:a.comp.)「諸々の見られ」
   sutesu(suta < pp. of suṇāti:a.m/n.pl.loc.)「聞かれたもの(欲望の対象)に」
  dhīro(dhīra:m.sg.nom.)「慧者は」

[備考:略字・記号等]
    m. masculine 男性
    n. neutral 中性
    f. feminine 女性

    pron. pronoun 代名詞
    a. adjective 形容詞
    num. numeral 数詞

    ppr. present participle 現在能動分詞
    pp. past participle 過去受動分詞
    grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞

    v. verb 動詞
    adv. adverb 副詞
    conj. conjunction 接続詞
    interj. interjection 間投詞
    prep. preposition  前置詞

    pref. prefix 接頭辞
    suf. suffix 接尾辞

    1. the first person 一人称
    2. the second person二人称
    3. the third person三人称

    sg. singular 単数
    pl. plural 複数

    nom. nominative 主格
    acc. accusative 対格
    inst. instrumental 具格
    abl. ablative 奪格
    dat. dative 与格
    gen. genitive 属格
    loc. locative 処格
    voc. vocative 呼格
    abs. loc. absolute locative 独立処格
    abs. gen. absolute genitive 独立属格

    comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)の前側の語句であり、語基等のまま(数・格なし)であることを表す

    pres. present 現在
    aor. aorist アオリスト
    pf. perfect 完了
    fut. future 未来
    imper. imperative 命令形
    opt. optative 願望法
    cond. conditional 条件法
    pass. passive 受動詞
    caus. causative 使役動詞
    ger. gerund 連続体
    inf. infinitive 不定体
    pass. passive 受動詞
    caus. causative 使役動詞
    denom.  denominative 名動詞
    med. medium 為自言 = refl.  reflective 反照態

    / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す
     (例えばdat/gen.は、与格と属格両方の可能性があるということを表す)
    < 単語の成り立ちを後ろに記す
     (例えばsata < pp. of saratiは、sataはsaratiの過去受動分詞に由来することを表す)
    > 解釈や修飾語句による性の変化
     (例えばn>mは、本来中性だがここでは男性ということを表す)

   なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが、底本である国際版パーリ三蔵(第六結集版の改訂)に記載されている偈番号であり、二つめの括弧内の番号が、PTS版の偈番号である。

 

出版のお知らせ、告知、感想など

明けましておめでとうございます。

兵庫ダンマサークルにて案内役をされています、
正田大観さんが昨年の12月に2冊(内電子書籍1冊)
出版されたことに伴い、告知、私は参加者の一人として、
主観の感想を報告致します。

片一方はクリシュナムルティ(以下K)の瞑想について書かれた本、
もう一つはKとブッダのテキストより両者に共通する真理の教えから
我々に問いかける作品となっています。
私自身は個人的には正田さんのように、衝撃、インパクトを受けることもなく、
Kの教えに対しての先入観は、正直な所、誰なのこの人?私は知りません。
という人間です。
Kに傾倒、執着するような人には反感持たれるかもしれません。

そこで、丁度サブタイトルにある項目を抽出します。
真の瞑想 自らの内なる光 22ページ~の中で、
Kはこのように話します。
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みなさんとわたし自身のあいだには、何の権威も存在しません。
この話し手には、何の権威もいっさいありません。彼は、みなさんを相手に何かを説得しようとしていないし、従うことを求めてもいません。誰かに従うとき、みなさんは、その相手を破壊します。弟子は師匠を破壊し、師匠は弟子を破壊します。歴史上でも、また日常生活でも、そういうことが起こっているのをご覧になれます。妻あるいは夫が互いを支配すれば、互いを破壊するのです。そこには、何の自由も、何の美も、何の愛もありません。
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次に、瞑想実践に関して、取りあげてみると、147ページ~
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自分自身を理解するためには、観察が不可欠です。その観察が起こり得るのは、「いま」だけです。それは、「いま」を観察している過去の運動ではありません。過去の結論、偏見、希望、恐怖から「いま」を観察するとき、それは過去から現在を観察することです。自分では「いま」を観察していると思っていますが、「いま」の観察が起こり得るのは、過去である観察者がいないときだけです。
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ブッダのともしび(上)に関しましては、当blogのパーリ語文法解析での課題に出てくる、
スッタニパータ第4、5章がありますので、参考になるかと思います。
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これらを読んで2元性の理解について多く紙面を使っているように思います。
痛みを感じたとき、
・その痛みをなんとかしてやろう、なんとかしたいとコントロールする者
・痛みを感じる、とコントロールされる者
というような、思考というものは、この2つに分離する性質があり、
ありもしない、成り立たない並行世界、パラレルワールドという錯覚、幻覚を作り出す。
瞑想指導においては痛いではなく、痛みを「痛み」として気づきを入れてください、とされています。
過去の結論、偏見、希望、恐怖なく、過去である観察者がいないとき、
自我を作り出すメカニズム、プロセス、をそのまま知り見て、
自我は錯覚である、と自分自身で発見するのだと思います。
そのとき感覚、知る機能は一本の川の流れであることが、自動的に理解されることになるのでしょう。
それには、何の目的を目指すことなく、意味や解釈もなく、価値判断もなく、
ものすごく丁寧に、厳密に、注意深く、ただ気づきを入れる。

それは、過去の記憶、知識からくる心理的な痕跡、轍なく、悩み患うことなく、敵味方の分別や争いなく、
「いま」を存分に創造的に生きる精神であり、それこそが自らの内なる光であり、「自灯明、法灯明」であって、はっきり言っちゃうと、そういう正しい瞑想は不可欠であると私は思います。

クリシュナムルティ、仏教、瞑想に関心がある、
またそのレベルとは違った、生きることはどういうことか、「私」とは何なのか、
自分自身の悩み苦しみの正体は何なのかと、難しく感じることもあるかと思いますが、
それらを解き明かし学ぶ参考になるでしょう。

真の瞑想:自らの内なる光

ブッダのともしび(上)――第一部 ふたりの覚者

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生きとし生けるものが幸せでありまように

有田
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次回のお知らせ
2018/1/27(土) 兵庫ダンマサークル勉強会
場所:神戸いきいき勤労会館 部屋305号室
https://www.kobe-kinrou.jp/shisetsu/kinroukaikan/index.html
市営地下鉄・JR・阪急・阪神・ポートライナー各三宮駅から
東へ徒歩5分

13:00~17:00
誰でも参加できる勉強会です。
何も必要ありません。手ぶらでOKです。
会場レンタル代は喜捨で開催されています。入退場は自由で、都合のつくときだけ来ていただいてOKです。
内容はパティパダーの法話、パーリ語経典の自主勉強会の開催予定です。
自ら内容を研究、吟味、調べて確かめてみて下さい。
案内役:正田大観さん

メール問い合わせ
有田:ariki.saddha@gmail.com
脇坂:nbg01704@bca.bai.ne.jp
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