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4.10. 「〔身体の〕破壊の前に」の経 865. (858)

【経典文】
 Na tassa puttā pasavo, Khettaṃ vatthuñca vijjati;
 Attā vāpi nirattā vā, Na tasmiṃ upalabbhati.
(11)
【正田氏訳】
 彼に、子供たちや家畜たちは〔見い出され〕ません。さらには、田畑や地所も見い出され〔ません〕。あるいは、また、自己が、あるいは、自己ではないものが、彼においては、〔対象として〕認められないのです。(11)
【文法的分解と単語訳】
(a)
 Na (na:adv.) 「〔見い出され〕ません。」
 tassa (so:pron.3.m.sg.dat/gen.) 「彼に」
 puttā (putta:m.pl.nom.) 「子供たちや」
 pasavo (pasu:m.pl.nom.) 「家畜たちは」

(b)
 Khettaṃ (khetta:n.sg.nom.) 「田畑や」
 vatthuñca < vatthuṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  vatthuṃ (vatthu (vatthus):n.sg.nom.) 「地所も」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
 vijjati (vijjati < pass. of vindati:v(pass).3.sg.pres.) 「見い出され〔ません〕。」

(c)
 Attā (attan:m.sg.nom.) 「自己が」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 nirattā (nirattan < nir(pref.)+attan:m.sg.nom.) 「自己ではないものが」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」

(d)
 Na (na:adv.) 「ないのです。」
 tasmiṃ (so:pron.3.m.sg.loc.) 「彼においては」
 upalabbhati (upalabbhati < pass. of upalabhati:v(pass).3.sg.pres.) 「〔対象として〕認められ」

[備考:略字・記号等]
m. masculine 男性
n. neutral 中性
f. feminine 女性
pron. pronoun 代名詞
a. adjective 形容詞
num. numeral 数詞
ppr. present participle 現在能動分詞
pp. past participle 過去受動分詞
grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
v. verb 動詞
indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
adv. adverb 副詞
conj. conjunction 接続詞
interj. interjection 間投詞
prep. preposition  前置詞
pref. prefix 接頭辞
suf. suffix 接尾辞
1. the first person 一人称
2. the second person二人称
3. the third person三人称
sg. singular 単数
pl. plural 複数
nom. nominative 主格
acc. accusative 対格
inst. instrumental 具格
abl. ablative 奪格
dat. dative 与格
gen. genitive 属格
loc. locative 処格
voc. vocative 呼格
comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
pres. present 現在
aor. aorist アオリスト
pf. perfect 完了
fut. future 未来
imper. imperative 命令形
opt. optative 願望法
cond. conditional 条件法
ger. gerund 連続体
inf. infinitive 不定体
pass. passive 受動動詞
caus. causative 使役動詞
denom.  denominative 名動詞
med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

< 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
 (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
 (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
> 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
 (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
/ 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
 (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

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