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2019年5月

4.11. 紛争と論争の経 879. (872)

【経典文】
" Nāmañca rūpañca paṭicca phasso, Icchānidānāni pariggahāni;
 Icchāyasantyā na mamattamatthi, Rūpe vibhūte na phusanti phassā " .
(11)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「名前(名:妄想によって固定され概念化した言葉)と、形態(色:妄想によって固定され実体化した形相)と、〔その二者〕を縁として、接触は〔発生しました〕。諸々の執持〔の対象〕は、因縁として欲求(潜在的な心の衝動)から〔発生しました〕。欲求が存在していないとき、我執は存在しません。形態が実体を離れたとき、諸々の接触は接触しません」〔と〕。(11)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Nāmañca < nāmaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  nāmaṃ (nāma:n.sg.acc.) 「「名前(名:妄想によって固定され概念化した言葉)」
  ca (ca:conj.) 「と」
 rūpañca < rūpaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  rūpaṃ (rūpa:n.sg.acc.) 「形態(色:妄想によって固定され実体化した形相)」
  ca (ca:conj.) 「と」
 paṭicca (paṭicca < ger. of pacceti:adv.) 「〔その二者〕を縁として」
 phasso (phassa:m.sg.nom.) 「接触は〔発生しました〕。」

(b)
 Icchānidānāni < icchā + nidānāni コンパウンド
  icchā (icchā:f.comp.) 「欲求(潜在的な心の衝動)から」
  nidānāni (nidāna:n.pl.nom.) 「因縁として」
 pariggahāni (pariggaha:m.>n.pl.nom.) 「諸々の執持〔の対象〕は…〔発生しました〕。」

(c)
 Icchāyasantyā < icchāya + asantyā 連声(前語語尾aが消失)
  icchāya (icchā:f.sg.loc.) 「欲求が」
  asantyā (asant < a(pref.)+sant(ppr.of atthi):a.f.sg.loc.) 「存在していないとき」
 na (na:adv.) 「せん。」
 mamattamatthi < mamattaṃ + atthi 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  mamattaṃ (mamatta:n.sg.nom.) 「我執は」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在しま」

(d)
 Rūpe (rūpa:n.sg.loc.) 「形態が」
 vibhūte (vibhūta < pp. of vibhavati:a.n.sg.loc.) 「実体を離れたとき」
 na (na:adv.) 「せん」〔と〕。」
 phusanti (phusati:v.3.pl.pres.) 「接触しま」
 phassā (phassa:m.pl.nom.) 「諸々の接触は」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 878. (871)

【経典文】
" Phasso nu lokasmi kutonidāno, Pariggahā cāpi kutopahūtā;
 Kismiṃ asante na mamattamatthi, Kismiṃ vibhūte na phusanti phassā " .
(10)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「世における接触(感覚・経験)は、いったい、因縁としてどこから〔発生したのですか〕。さらには、また、諸々の執持〔の対象〕(所有物)は、〔因縁として〕どこから発生したのですか。何が存在していないとき、我執は存在しないのですか。何が実体を離れたとき、諸々の接触は接触しないのですか」〔と〕。(10)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Phasso (phassa:m.sg.nom.) 「接触(感覚・経験)は」
 nu (nu:adv.) 「いったい」
 lokasmiṃ(語尾ṃが消失) (loka:m.sg.loc.) 「「世における」
 kutonidāno < kuto + nidāno コンパウンド
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.comp.) 「どこから〔発生したのですか〕。」
  nidāno (nidāna:n.>m.sg.nom.) 「因縁として」

(b)
 Pariggahā (pariggaha:m.pl.nom.) 「諸々の執持〔の対象〕(所有物)は」
 cāpi < ca + api 連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してāに変化)
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 Kutopahūtā < kuto + pahūtā
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.) 「どこから」
  pahūtā (pahūta < pp. of pa-bhū:a.m.pl.nom.) 「〔因縁として〕発生したのですか。」

(c)
 Kismiṃ (ka:pron.m./n.sg.loc.) 「何が」
 asante (asant < a(pref.)+sant(ppr.of atthi):a.m./n.sg.loc.) 「存在していないとき」
 na (na:adv.) 「ないのですか。」
 mamattamatthi < mamattaṃ + atthi 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  mamattaṃ (mamatta:n.sg.nom.) 「我執は」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在し」

(d)
 Kismiṃ (ka:pron.m./n.sg.loc.) 「何が」
 vibhūte (vibhūta < pp. of vibhavati,vibhoti:a.m./n.sg.loc.) 「実体を離れたとき」
 na (na:adv.) 「ないのですか」〔と〕。」
 phusanti (phusati:v.3.pl.pres.) 「接触し」
 phassā (phassa:m.pl.nom.) 「諸々の接触は」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 877. (870)

【経典文】
" Phassanidānaṃ sātaṃ asātaṃ, Phasse asante na bhavanti hete;
 Vibhavaṃ bhavañcāpi yametamatthaṃ, Etaṃ te pabrūmi itonidānaṃ " .
(9)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「快と不快〔の二者〕は、因縁として接触(触:感覚・経験)から〔発生しました〕。接触が存在していないとき、これらのものは、まさに、有ることなくあります。虚無、さらには、また、実体という、〔まさに〕その、この義(無と有の概念的二項対立)は、因縁としてこれ(接触)から〔発生すること〕を、このことを、あなたに説きます」〔と〕。(9)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Phassanidānaṃ < phassa + nidānaṃ コンパウンド
  phassa (phassa:m.comp.) 「接触(触:感覚・経験)から〔発生しました〕。」
  nidānaṃ (nidāna:n.sg.nom.) 「因縁として」
 sātaṃ (sāta:a.n.sg.nom.) 「「快と」
 asātaṃ (asāta:a.n.sg.nom.) 「不快〔の二者〕は」

(b)
 Phasse (phassa:m.sg.loc.) 「接触が」
 asante (asant < a(pref.)+sant(ppr.of atthi):a.m.sg.loc.) 「存在していないとき」
 na (na:adv.) 「有ることなく」
 bhavanti (bhavati:v.3.pl.pres.) 「あります。」
 hete < hi + ete 連声(前語語尾iが消失)
  hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
  ete (ete:pron.m.pl.nom.) 「これらのものは」

(c)
 Vibhavaṃ (vibhava:m.sg.acc.) 「虚無」
 bhavañcāpi < bhavaṃ + ca + api どちらの+も連声(第一語語尾ṃがñに変化、第二語語尾aと第三語語頭aが結合してāに変化)
  bhavaṃ (bhava:m.sg.acc.) 「実体という」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 yametamatthaṃ < yaṃ + etaṃ + atthaṃ どちらの+も連声(第一語語尾と第二語語尾のṃがそれぞれmに変化)
  yaṃ (ya:pron.m./n.sg.acc.) 「〔まさに〕その」
  etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「この」
  atthaṃ (attha:m./n.sg.acc.) 「義(無と有の概念的二項対立)は」

(d)
 Etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「このことを」
 te (tvaṃ:pron.2.sg.dat.) 「あなたに」
 pabrūmi (pabrūti:v.1.sg.pres.) 「説きます」〔と〕。」
 itonidānaṃ < ito + nidānaṃ コンパウンド
  ito (ito:indecl.comp.) 「これ(接触)から〔発生すること〕を」
  nidānaṃ (nidāna:m./n.sg.acc.) 「因縁として」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。



(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 876. (869)

【経典文】
" Sātaṃ asātañca kutonidānā, Kismiṃ asante na bhavanti hete;
 Vibhavaṃ bhavañcāpi yametamatthaṃ, Etaṃ me pabrūhi yatonidānaṃ " .
(8)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「しかして、快と不快〔の二者〕は、因縁としてどこから〔発生したのですか〕。何が存在していないとき、これらのものは、まさに、有ることなくあるのですか。虚無、さらには、また、実体という、〔まさに〕その、この義(無と有の概念的二項対立)は、因縁としてどこから〔発生するのか〕を、このことを、わたしに説いてください」〔と〕。(8)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sātaṃ (sāta:a.n.sg.nom.) 「快と」
 asātañca < asātaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  asātaṃ (asāta:a.n.sg.nom.) 「不快〔の二者〕は」
  ca (ca:conj.) 「しかして」
 kutonidānā < kuto + nidānā コンパウンド
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.comp.) 「どこから〔発生したのですか〕。」
  nidānā (nidāna:n.sg.abl. / n.pl.nom.) 「因縁として」

(b)
 Kismiṃ (ka:pron.m./n.sg.loc.) 「何が~か。」
 asante (asant < a(pref.)+sant(ppr.of atthi):a.m./n.sg.loc.) 「存在していないとき」
 na (na:adv.) 「有ることなく」
 bhavanti (bhavati:v.3.pl.pres.) 「あるのです」
 hete < hi + ete 連声(前語語尾iが消失)
  hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
  ete (etad:pron.m.pl.nom.) 「これらのものは」

(c)
 Vibhavaṃ (vibhava:m.sg.acc.) 「虚無」
 bhavañcāpi < bhavaṃ + ca + api どちらの+も連声(第一語語尾ṃがñに変化、第二語語尾aと第三語語頭aが結合してāに変化)
  bhavaṃ (bhava:m.sg.acc.) 「実体という」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 yametamatthaṃ < yaṃ + etaṃ + atthaṃ どちらの+も連声(第一語語尾と第二語語尾のṃがそれぞれmに変化)
  yaṃ (ya:pron.m./n.sg.acc.) 「〔まさに〕その」
  etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「この」
  atthaṃ (attha:m./n.sg.acc.) 「義(無と有の概念的二項対立)は」

(d)
 Etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「このことを」
 me (ahaṃ:pron.1.sg.dat.) 「わたしに」
 pabrūhi (pabrūti:v.2.sg.imper.) 「説いてください」〔と〕。」
 yatonidānaṃ < yato + nidānaṃ コンパウンド
  yato (yato < abl. of ya:adv.comp.) 「どこから」
  nidānaṃ (nidāna:m./n.sg.acc.) 「因縁として…〔発生するのか〕を」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 875. (868)

【経典文】
Kodho mosavajjañca kathaṃkathā ca, Etepi dhammā dvayameva sante;
Kathaṃkathī ñāṇapathāya sikkhe, Ñatvā pavuttā samaṇena dhammā”.
(7)

【正田氏訳】
 忿激、虚偽の言葉と、懐疑と、これらの法(性質)もまた、まさしく、〔快と不快の〕二者(概念的二項対立図式)に〔依存して〕、存在します。懐疑ある者は、知恵の道に学ぶのです。〔このように〕知って、〔これらの〕諸法(性質)は、沙門によって説かれました」〔と〕。(7)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Kodho (kodha:m.sg.nom.) 「忿激」
 mosavajjañca < mosa + vajjaṃ+ca 一つめの+はコンパウンド、二つめの+は連声(前語語尾ṃがñに変化)
  mosa (mosa < musāの重音:a.comp.) 「虚偽の」
  vajjaṃ (vajja:n.sg.nom.) 「言葉」
  ca (ca:conj.) 「と」
 kathaṃkathā (kathaṃkathā:f.sg.nom.) 「懐疑」
 ca (ca:conj.) 「と」

(b)
 Etepi < ete + api 連声(後語語頭aが消失)
  ete (etad:pron.m.pl.nom.) 「これらの」
  api (api:indecl.) 「また」
 dhammā (dhamma:m.pl.nom.) 「法(性質)も」
 dvayameva < dvayaṃ + eva 連声(前後語尾ṃがmに変化)
  dvayaṃ (dvaya:a.n.sg.acc.) 「〔快と不快の〕二者(概念的二項対立図式)に」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 sante (atthi:v.3.pl.pres.) 「存在します。」

(c)
 Kathaṃkathī (kathaṃkathin:m.sg.nom.) 「懐疑ある者は」
 ñāṇapathāya < ñāṇa + pathāya コンパウンド
  ñāṇa (ñāṇa:n.comp.) 「知恵の」
  pathāya (patha:m.sg.dat.) 「道に」
 sikkhe (sikkhati:v.3.sg.opt.) 「学ぶのです。」

(d)
 Ñatvā (jānāti:v.ger.) 「〔このように〕知って」
 pavuttā (pavutta < pp. of pavuccati:a.m.pl.nom.) 「説かれました。」
 samaṇena (samaṇa:m.sg.instr.) 「沙門によって」
 dhammā (dhamma:m.pl.nom.) 「〔これらの〕諸法(性質)は」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。



(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 874. (867)

【経典文】
 " Sātaṃ asātanti yamāhu loke, Tamūpanissāya pahoti chando;
 Rūpesu disvā vibhavaṃ bhavañca, Vinicchayaṃ kubbati jantu loke.
(6)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「〔まさに〕その、『快がある、不快がある』と、世において、〔人々が〕言うところの、その〔二者〕(快と不快)に依存して、欲〔の思い〕は発生します。諸々の形態(色:妄想によって固定され実体化した形相)のうちに、〔表象として顕現した〕虚無(非有:無)、もしくは、実体(有:存在)を見て、人は、世において、〔断定的〕判断を為します。(6)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sātaṃ (sāta:a.n.sg.nom.) 「『快がある、」
 asātanti < asātaṃ + iti 連声(後語語頭iが消失、前語語尾ṃがnに変化)
  asātaṃ (asāta:a.n.sg.nom.) 「不快がある』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 yamāhu < yaṃ + āhu 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  yaṃ (ya:pron.n.sg.nom/acc.) 「〔まさに〕その…ところの」
  āhu (āha:v.3.pl.pf.) 「〔人々が〕言う」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」

(b)
 Tamūpanissāya < taṃ + ūpanissāya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  Taṃ (taṃ:pron.3.n.sg.acc.) 「その〔二者〕(快と不快)に」
  ūpanissāya (upanissayati:v.ger.(語頭のūは、韻律の関係でuが長音化したものと思われる)) 「依存して」
 pahoti (pahoti:v.3.sg.pres.) 「発生します。」
 chando (chanda:m.sg.nom.) 「欲〔の思い〕は」

(c)
 Rūpesu (rūpa:n.pl.loc.) 「諸々の形態(色:妄想によって固定され実体化した形相)のうちに」
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」
 vibhavaṃ (vibhava:m.sg.acc.) 「〔表象として顕現した〕虚無(非有:無)」
 bhavañca < bhavaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  bhavaṃ (bhava:m.sg.acc.) 「実体(有:存在)を」
  ca (ca:conj.) 「もしくは」

(d)
 Vinicchayaṃ (vinicchaya:m.sg.acc.) 「〔断定的〕判断を」
 kubbati (kubbati:v.3.sg.pres.) 「為します。」
 jantu (jantu:m.sg.nom.) 「人は」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」

 

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 873. (866)

【経典文】
 " Chando nu lokasmiṃ kutonidāno, Vinicchayā cāpi kutopahūtā;
 Kodho mosavajjañca kathaṃkathā ca, Ye vāpi dhammā samaṇena vuttā ".
(5)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「世における欲〔の思い〕は、いったい、因縁としてどこから〔発生したのですか〕。さらには、また、〔世の人々が下す〕諸々の〔断定的〕判断は、〔因縁として〕どこから発生したのですか。忿激、虚偽の言葉と、懐疑とは、〔因縁としてどこから発生したのですか〕──あるいは、また、それらの法(性質)が、沙門によって説かれたとして」〔と〕。(5)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Chando (chanda:m.sg.nom.) 「欲〔の思い〕は」
 nu (nu:adv.) 「いったい」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世における」
 kutonidāno < kuto + nidāno コンパウンド
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.comp.) 「どこから〔発生したのですか〕。」
  nidāno (nidāna:n>m.sg.nom.) 「因縁として」

(b)
 Vinicchayā (vinicchaya:m.pl.nom.) 「諸々の〔断定的〕判断は」
 cāpi < ca + api 連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してā)
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 Kutopahūtā < kuto + pahūtā
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.) 「〔因縁として〕どこから」
  pahūtā (pahūta < pp. of pahoti:a.m.pl.nom.) 「発生したのですか。」

(c)
 Kodho (kodha:m.sg.nom.) 「忿激」
 mosavajjañca < mosa + vajjaṃ + ca 一つめの+はコンパウンド、二つめの+は連声(前語語尾ṃがñに変化)
  mosa (mosa < musāの重音:a.comp.) 「虚偽の」
  vajjaṃ (vajja:n.sg.nom.) 「言葉」
  ca (ca:conj.) 「と」
 kathaṃkathā (kathaṃkathā:f.sg.nom.) 「懐疑…は〔因縁としてどこから発生したのですか〕」
 ca (ca:conj.) 「と」

(d)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「それらの」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 dhammā (dhamma:m.pl.nom.) 「法(性質)が」
 samaṇena (samaṇa:m.sg.instr.) 「沙門によって」
 vuttā (vutta < pp. of vuccati:a.m.pl.nom.) 「説かれたとして」〔と〕。」

 

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 872. (865)

【経典文】
 " Chandānidānāni piyāni loke, Ye cāpi lobhā vicaranti loke;
 Āsā ca niṭṭhā ca itonidānā, Ye samparāyāya narassa honti ".
(4)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「世における諸々の愛しいものは、因縁として欲〔の思い〕から〔発生しました〕──さらには、また、彼らが、貪欲〔の思い〕から、世を渡り歩くとして。諸々の願望と、諸々の目標とは、因縁としてこれ(欲の思い)から〔発生しました〕──それらが、人の未来のために有るとして」〔と〕。(4)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Chandānidānāni < chanda + nidānāni コンパウンド,連声(前語語尾aがāに変化)
  Chanda (chanda:m.comp.) 「欲〔の思い〕から〔発生しました〕」
  nidānāni (nidāna:n.pl.nom.) 「因縁として」
 piyāni (piya:a.n.pl.nom.) 「諸々の愛しいものは」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世における」

(b)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「彼らが」
 cāpi < ca + api 連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してā)
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 lobhā (lobha:m.sg.abl./m.pl.nom.) 「貪欲〔の思い〕から / 諸々の貪欲〔の思い〕ある者たちとして」
 vicaranti (vicarati:v.3.pl.pres.) 「渡り歩くとして。」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世を」

(c)
 Āsā (āsā:f.pl.nom.) 「諸々の願望」
 ca (ca:conj.) 「と」
 niṭṭhā (niṭṭha:f.pl.nom.) 「諸々の目標」
 ca (ca:conj.) 「とは」
 itonidānā < ito + nidānā コンパウンド
  ito (ito:indecl.comp.) 「これ(欲の思い)より〔発生しました〕」
  nidānā (nidāna:n.pl.nom.) 「因縁として」

(d)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「それらが」
 samparāyāya (samparāya:m.sg.dat.) 「未来のために」
 narassa (nara:m.sg.dat/gen.) 「人の」
 honti (atthi:v.3.pl.pres.) 「有るとして」〔と〕。」

 

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 871. (864)

【経典文】
 " Piyā su lokasmiṃ kutonidānā, Ye cāpi lobhā vicaranti loke;
 Āsā ca niṭṭhā ca kutonidānā, Ye samparāyāya narassa honti ".
(3)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「世における諸々の愛しいものは、いったい、因縁としてどこから〔発生したのですか〕──さらには、また、彼らが、貪欲〔の思い〕から、世を渡り歩くとして。諸々の願望と、諸々の目標とは、因縁としてどこから〔発生したのですか〕──それらが、人の未来のために有るとして」〔と〕。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Piyā (piya:a.n.pl.nom.) 「諸々の愛しいものは」
 su (su:adv.) 「いったい」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世における」
 kutonidānā < kuto + nidānā コンパウンド
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.comp.) 「どこから〔発生したのですか〕。」
  nidānā (nidāna:n.pl.nom.) 「因縁として」

(b)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「彼らが」
 cāpi < ca + api 連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してā)
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 lobhā (lobha:m.sg.abl./m.pl.nom.) 「貪欲〔の思い〕から / 諸々の貪欲〔の思い〕ある者たちとして」
 vicaranti (vicarati:v.3.pl.pres.) 「渡り歩くとして。」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世を」

(c)
 Āsā (āsā:f.pl.nom.) 「諸々の願望」
 ca (ca:conj.) 「と」
 niṭṭhā (niṭṭhā:f.pl.nom.) 「諸々の目標」
 ca (ca:conj.) 「とは」
 kutonidānā < kuto + nidānā コンパウンド
  kuto (kuto < abl. of ku:adv.comp.) 「どこから」
  nidānā (nidāna:n.pl.nom.) 「因縁として」

(d)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「それらが」
 samparāyāya (samparāya:m.sg.dat.) 「未来のために」
 narassa (nara:m.sg.dat/gen.) 「人の」
 honti (atthi:v.3.pl.pres.) 「有るとして」〔と〕。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 870. (863)

【経典文】
 " Piyappahūtā kalahā vivādā, Paridevasokā sahamaccharā ca;
 Mānātimānā sahapesuṇā ca, Maccherayuttā kalahā vivādā;
 Vivādajātesu ca pesuṇāni ".
(2)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「諸々の紛争と諸々の論争は、愛しいもの(自己中心的な愛着や愛執の対象)から発生しました。しかして、諸々の物惜しみ〔の思い〕と共にある諸々の嘆きと憂いは、さらには、諸々の中傷〔の思い〕と共にある諸々の思量と高慢は、〔それらもまた、愛しいものから発生しました〕。諸々の紛争と諸々の論争は、諸々の物惜しみ〔の思い〕に束縛されたものであり、しかして、〔他者とのあいだで〕諸々の論争が生じたとき、諸々の中傷〔の思い〕があります」〔と〕。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Piyappahūtā < piya + pahūtā コンパウンド,連声(前語語尾と後語語頭の間にp挿入)
  Piya (piya:a.comp.) 「愛しいもの(自己中心的な愛着や愛執の対象)から」
  pahūtā (pahūta < pp. of pahoti:a.m.pl.nom.) 「発生しました。」
 kalahā (kalaha:m.pl.nom.) 「諸々の紛争と」
 vivādā (vivāda:m.pl.nom.) 「諸々の論争は」

(b)
 Paridevasokā < parideva + sokā コンパウンド
  Parideva (parideva:m.comp.) 「諸々の嘆きと」
  sokā (soka:m.pl.nom.) 「憂いは」
 sahamaccharā < saha + maccharā
  saha (saha:prep.) 「と共にある」
  maccharā (macchara:n.pl.nom.) 「諸々の物惜しみ〔の思い〕」
 ca (ca:conj.) 「しかして」

(c)
 Mānātimānā < māna + atimānā コンパウンド,連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してā)
  Māna (māna:m.comp.) 「諸々の思量と」
  atimānā (atimāna:m.pl.nom.) 「高慢は、〔それらもまた、愛しいものから発生しました〕。」
 sahapesuṇā < saha + pesuṇā
  saha (saha:prep.) 「と共にある」
  pesuṇā (pesuṇa:n.pl.nom.) 「諸々の中傷〔の思い〕」
 ca (ca:conj.) 「さらには」

(d)
 Maccherayuttā < macchera + yuttā コンパウンド
  Macchera (macchera = macchariya:n.comp.) 「諸々の物惜しみ〔の思い〕」
  yuttā (yutta < pp. of yuñjati:a.m.pl.nom.) 「に束縛されたものであり」
 kalahā (kalaha:m.pl.nom.) 「諸々の紛争と」
 vivādā (vivāda:m.pl.nom.) 「諸々の論争は」

(e)
 Vivādajātesu < vivāda + jātesu コンパウンド
  Vivāda (vivāda:m.comp.) 「〔他者とのあいだで〕諸々の論争が」
  jātesu (jāta < pp. of janati:a.m.pl.loc.) 「生じたとき」
 ca (ca:conj.) 「しかして」
 pesuṇāni (pesuṇa:n.pl.nom.) 「諸々の中傷〔の思い〕があります」〔と〕。」

 

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁとciの連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n>m」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat/gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

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