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2019年6月

4.11. 紛争と論争の経 884. (877)

【経典文】
 Ete ca ñatvā upanissitāti, Ñatvā munī nissaye so vimaṃsī;
 Ñatvā vimutto na vivādameti, Bhavābhavāya na sameti dhīro " ti.
(16)

【正田氏訳】
 しかしながら、〔牟尼は〕これらの者たちを、『〔いまだ〕依存ある者たちである』と知って──〔すなわち〕牟尼にして〔あるがままの〕考察者たる彼は、〔彼らの〕諸々の依存〔の思い〕を知って──解脱者は、〔あるがままに〕知って、〔無益な〕論争に至らず、〔真の〕慧者は、種々なる生存のために行知することがありません(輪廻的あり方を超越する)」〔と〕。ということで──(16)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Ete (etad:pron.m.pl.acc./nom.) 「これらの者たちを/『〃は」
 ca (ca:conj.) 「しかしながら」
 ñatvā (jānāti:v.ger.) 「〔牟尼は〕知って」
 upanissitāti < upanissitā + iti 連声(後語語頭iが消失)
  upanissitā (upanissita < pp. of upanissayati:a.m.pl.nom.) 「『〔いまだ〕依存ある者たちである』」
  iti (iti:indecl.) 「と」

(b)
 Ñatvā (jānāti:v.ger.) 「知って」
 munī (muni:m.sg.nom. 韻律の関係で語尾iがīに長音化したと思われる) 「〔すなわち〕牟尼にして」
 nissaye (nissaya:m.pl.acc.) 「〔彼らの〕諸々の依存〔の思い〕を」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 vimaṃsī (vīmaṃsin:a.m.sg.nom. 韻律の関係でīがiに短音化したと思われる) 「〔あるがままの〕考察者たる」

(c)
 Ñatvā (jānāti:v.ger.) 「〔あるがままに〕知って」
 vimutto (vimutta < pp. of vimuñcati:a.m.sg.nom.) 「解脱者は」
 na (na:adv.) 「ず」
 vivādameti < vivādaṃ + eti 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  vivādaṃ (vivāda:m.sg.acc.) 「〔無益な〕論争に」
  eti (eti:v.3.sg.pres.) 「至ら」

(d)
 Bhavābhavāya < bhava + abhavāya コンパウンド,連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してāに変化)
  bhava (bhava:m.comp.)
  abhavāya (abhava:m.sg.dat.) 「種々なる生存のために」
 na (na:adv.) 「せん」〔と〕。」
 sameti (sameti:v.3.sg.pres.) 「行知することがありま」
 dhīro (dhīra:a.m.sg.nom.) 「〔真の〕慧者は」
 ti (ti = iti:indecl.) 「ということで―」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 883. (876)

【経典文】
 " Ettāvataggampi vadanti heke, Yakkhassa suddhiṃ idha paṇḍitāse;
 Tesaṃ paneke samayaṃ vadanti, Anupādisese kusalā vadānā.
(15)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「まさに、或る者たちは、また、これ(形態の非有)だけで、精神の至高の清浄を説きます(常住論)──ここに、〔自らを〕賢者たちとして。いっぽうで、彼らのなかの或る者たちは、〔生存の〕依り所という残りものがないもの(無余依)について、〔別の誤った〕教義を説きます(断滅論)──〔自らについて〕『智者である』〔と〕説きながら。(15)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Ettāvataggaṃ < ettāvatā + aggaṃ + api どちらの+も連声(第一語語尾āが消失、第三語語頭aが消失、第二語語尾ṃがmに変化)
  ettāvatā (ettāvatā:adv.) 「これ(形態の非有)だけで」
  aggaṃ (agga:a.f.sg.acc.) 「至高の」
  api (api:indecl.) 「また」
 vadanti (vadati:v.3.pl.pres.) 「説きます(常住論)」
 heke < hi + eke 連声(前語語尾iが消失)
  hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
  eke (eka:a.m.pl.nom.) 「或る者たちは」

(b)
 Yakkhassa (yakkha:m.sg.gen.) 「精神の」
 suddhiṃ (suddhi:f.sg.acc.) 「清浄を」
 idha (idha:adv.) 「ここに」
 paṇḍitāse (paṇḍita:a.m.pl.nom.) 「〔自らを〕賢者たちとして。」

(c)
 Tesaṃ (so:pron.3.m.pl.gen.) 「彼らのなかの」
 paneke < pana + eke 連声(前語語尾aが消失)
  pana (pana:adv.conj.) 「いっぽうで」
  eke (eka:a.m.pl.nom.) 「或る者たちは」
 samayaṃ (samaya:m.sg.acc.) 「〔別の誤った〕教義を」
 vadanti (vadati:v.3.pl.pres.) 「説きます(断滅論)」

(d)
 Anupādisese (anupādisesa:a.m.sg.loc. / pl.acc.) 「〔生存の〕依り所という残りものがないもの(無余依)について」
 kusalā (kusala:a.m.pl.nom.) 「〔自らについて〕『智者である』〔と〕」
 vadānā (vadāna < ppr. of vadati:a.m.pl.nom.) 「説きながら。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 882. (875)

【経典文】
 " Yaṃ taṃ apucchimha akittayī no, Aññaṃ taṃ pucchāma tadiṅgha brūhi;
 Ettāvataggaṃ nu vadanti heke, Yakkhassa suddhiṃ idha paṇḍitāse;
 Udāhu aññampi vadanti etto " .
(14)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「〔まさに〕その、〔わたしたちが〕あなたに尋ねたことですが、〔あなたは〕わたしたちに述べ伝えてくれました。〔今度は、それとは〕他のものを、あなたに尋ねます。どうか、それを説いてください。まさに、或る者たちは、いったい、これ(形態の非有)だけで、精神の至高の清浄を説くのですか──ここに、〔自らを〕賢者たちとして。あるいは、また、これ(形態の非有)とは他のものを説くのですか」〔と〕。(14)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yaṃ (ya:pron.n.sg.acc.) 「〔まさに〕その…ことですが」
 taṃ (tvaṃ:pron.2.sg.acc.) 「あなたに」
 apucchimha (pucchati:v.1.pl.aor.) 「〔わたしたちが〕尋ねた」
 akittayī (kitteti:v.2.sg.aor.) 「述べ伝えてくれました。」
 no (ahaṃ:pron.1.pl.dat.) 「わたしたちに」

(b)
 Aññaṃ (añña:a.pron.n.sg.acc.) 「〔今度は、それとは〕他のものを」
 taṃ (tvaṃ:pron.2.sg.acc.) 「あなたに」
 pucchāma (pucchati:v.1.pl.pres.) 「尋ねます。」
 tadiṅgha < tad + iṅgha 連声
  tad (taṃ:pron.3.n.sg.acc.) 「それを」
  iṅgha (iṅgha:interj.) 「どうか」
 brūhi (brūti:v.2.sg.imper.) 「説いてください。」

(c)
 Ettāvataggaṃ < ettāvatā + aggaṃ 連声(前語語尾āが消失)
  ettāvatā (ettāvatā:adv.) 「これ(形態の非有)だけで」
  aggaṃ (agga:a.f.sg.acc.) 「至高の」
 nu (nu:adv.) 「いったい~のですか。」
 vadanti (vadati:v.3.pl.pres.) 「説く」
 heke < hi + eke 連声(前語語尾iが消失)
  hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
  eke (eka:a.m.pl.nom.) 「或る者たちは」

(d)
 Yakkhassa (yakkha:m.sg.gen.) 「精神の」
 suddhiṃ (suddhi:f.sg.acc.) 「清浄を」
 idha (idha:adv.) 「ここに」
 paṇḍitāse (paṇḍita:a.m.pl.nom.) 「〔自らを〕賢者たちとして。」

(e)
 Udāhu (udāhu:indecl.) 「あるいは」
 aññampi < aññaṃ + api 連声(後語語頭aが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  aññaṃ (añña:a.pron.m./n.sg.acc.) 「他のものを」
  api (api:indecl.) 「また」
 vadanti (vadati:v.3.pl.pres.) 「説くのですか」〔と〕。」
 etto (etto < abl. of etta:adv.) 「これ(形態の非有)とは」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 881. (874)

【経典文】
 " Na saññasaññī na visaññasaññī, Nopi asaññī na vibhūtasaññī;
 Evaṃ sametassa vibhoti rūpaṃ, Saññānidānā hi papañcasaṅkhā " .
(13)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「表象としての表象ある者(既存の表象に随従する者)ではなく、表象を離れる表象ある者(異常な表象を妄想する者)ではなく、また、表象なき者(表象を有さない者)ではなく、実体を離れた表象ある者(表象を超越した者)ではなく、このように行知した者の形態は、実体を離れます。なぜなら、諸々の虚構の名称(世界認識の道具として虚構された概念)は、因縁として表象〔作用〕(想:認識対象を表象し概念化する働き)から〔発生する〕からです」〔と〕。(13)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Na (na:adv.) 「なく」
 saññasaññī < saññā + saññī コンパウンド,連声(前語語尾āがaに変化)
  saññā (saññā:f.comp.) 「表象としての」
  saññī (saññin:a.m.sg.nom.) 「表象ある者(既存の表象に随従する者)では」
 na (na:adv.) 「なく」
 visaññasaññī < visañña + saññī コンパウンド
  visañña (visañña:a.comp.) 「表象を離れる」
  saññī (saññin:a.m.sg.nom.) 「表象ある者(異常な表象を妄想する者)では」

(b)
 nopi < no + api 連声(後語語頭aが消失)
  no (no = na:adv.) 「なく」
  api (api:indecl.) 「また」
 asaññī (asaññin:a.m.sg.nom.) 「表象なき者(表象を有さない者)では」
 na (na:adv.) 「なく」
 vibhūtasaññī < vibhūta + saññī コンパウンド
  vibhūta (vibhūta < pp. of vibhavati:a.comp.) 「実体を離れたとき」
  saññī (saññin:a.m.sg.nom.) 「表象ある者(表象を超越した者)では」

(c)
 Evaṃ (evaṃ:adv.) 「このように」
 sametassa (sameta < pp. of sameti:a.m.sg.gen.) 「行知した者の」
 vibhoti (vibhoti:v.3.sg.pres.) 「実体を離れます。」
 rūpaṃ (rūpa:n.sg.nom.) 「形態は」

(d)
 Saññānidānā < saññā + nidānā コンパウンド
  saññā (saññā:f.comp.) 「表象〔作用〕(想:認識対象を表象し概念化する働き)は」
  nidānā (nidāna:n.sg.abl. / f.pl.nom.) 「因縁として」
 hi (hi:adv.conj.) 「なぜなら~からです。」
 papañcasaṅkhā < papañca + saṅkhā コンパウンド
  papañca (papañca:m.comp.) 「虚構の」
  saṅkhā (saṅkhā:f.pl.nom.) 「諸々の…名称(世界認識の道具として虚構された概念)は」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.11. 紛争と論争の経 880. (873)

【経典文】
 " Kathaṃ sametassa vibhoti rūpaṃ, Sukhaṃ dukhañcāpi kathaṃ vibhoti;
 Etaṃ me pabrūhi yathā vibhoti, Taṃ jāniyāmāti me mano ahu " .
(12)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「どのように行知した者の形態は、実体を離れるのですか。楽は、さらには、また、苦は、どのようにして、実体を離れるのですか。このことを、〔それが〕実体を離れる、そのとおりに、わたしに説いてください。それを、〔わたしたちは〕知りたいのです。かくのごとく、わたしの意は成りました」〔と〕。(12)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Kathaṃ (kathaṃ:adv.) 「「どのように~のですか。」
 sametassa (sameta < pp. of sameti:a.m.sg.gen.) 「行知した者の」
 vibhoti (vibhoti = vibhavati:v.3.sg.pres.) 「実体を離れる」
 rūpaṃ (rūpa:n.sg.nom.) 「形態は」

(b)
 Sukhaṃ (sukha:n.sg.nom.) 「楽は」
 dukhañcāpi < dukkhaṃ + ca + api どちらの+も連声(第一語語尾ṃがñに変化、第二語語尾aと第三語語頭aが結合してāに変化)
  dukhaṃ (dukkha:n.sg.nom. 韻律の関係でkkがkになったと思われる) 「苦は」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
  api (api:indecl.) 「また」
 kathaṃ (kathaṃ:adv.) 「どのようにして~のですか。」
 vibhoti (vibhoti = vibhavati:v.3.sg.pres.) 「実体を離れる」

(c)
 Etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「このことを」
 me (ahaṃ:pron.1.sg.dat.) 「わたしに」
 pabrūhi (pabrūti:v.2.sg.imper.) 「説いてください。」
 yathā (yathā:adv.) 「そのとおりに」
 vibhoti (vibhoti:v.3.sg.pres.) 「〔それが〕実体を離れる」

(d)
 Taṃ (taṃ:pron.3.n.sg.acc.) 「それを」
 jāniyāmāti < jāniyāma + iti 連声(前語語尾aと後語語頭iが結合してāに変化)
  jāniyāma (jānāti:v.1.pl.opt.) 「〔わたしたちは〕知りたいのです。」
  iti (iti:indecl.) 「かくのごとく」
 me (ahaṃ:pron.1.sg.gen.) 「わたしの」
 mano (mano,manas:n.sg.nom.) 「意は」
 ahu (hoti:v.3.sg.aor.) 「成りました。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

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