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2019年7月

パソコン・タブレット・スマホでのパーリ語ローマ字表記入力方法


■ はじめに

 パーリ語に興味のある皆様のご参考までに、通常のパソコンやタブレット・スマホに入っているフォントを使って、ローマ字表記*のパーリ語を入力する方法をご紹介します。

 今回紹介する方法では、しくみとしてUnicodeという文字コードを用いていますので、特殊なフォントのダウンロードやインストールは必要なく、キーボードのキー配列もそのままの状態で普通に文字入力できます。そして、英語には用いられていない(キーボードにない)アルファベット、すなわち、ā などの符号つき特殊アルファベットについては、一字ずつ便宜的な読みを付けて単語登録しておく方法をお勧めしています。こうしておけば、以後は、普通の漢字変換などと同様に簡単に入力でき、たいていのソフト(ブラウザ、メール、テキストエディタ、ワープロ、表計算など)でローマ字表記のパーリ語を扱うことができるようになります。

*「ローマ字表記」についての参考情報
 世界の言語の種類は数千あると言われますが、文字の種類は数百しかありません。もともと文字をもたない言語は他から文字を借りてきて使います(ちなみに、日本語は、漢字を借用しつつ、独自に仮名文字を生み出して用いており、これほど融合された混用は唯一だそうです)。
 その中で、ローマ字(ラテン・アルファベット、ラテン文字とも言う。古代イタリアでラテン語の表記のためにギリシア文字から作られたもの)は、おそらく最も多くの言語(イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、英語、ドイツ語、チェコ語、ポーランド語、ハンガリー語、フィンランド語、インドネシア語、ベトナム語、フィリピノ語、ポリネシア諸語、スワヒリ語、ヨルバ語、トルコ語など)に使用されている文字だと言えると思います。
 そして、ご存じの通り、パーリ語の経典は、セイロン文字、ビルマ文字、タイ文字、カンボジア文字、デーヴァナーガリー、ローマ字など、国それぞれでなじみのある文字を使って記録・伝承されており、ローマ字(基本ラテン・アルファベット21字 a b c d e g h i j k l m n o p r s t u v y 単独または組み合わせに加え、符号つきアルファベット11字 ā ī ū ṭ ḍ ḷ ṅ ñ ṇ ṁまたはṃ を用いた)表記は、西洋のみならず日本でも最も一般的に使われています。
 以下の記事は、主に、これら符号つきアルファベットをどうやってパソコン等で入力するのかについて書いています(それゆえパーリ語限定の話というわけではありません。ドイツ語のウムラウト(ä,ö,ü)、フランス語のアクサン記号付きの文字(アクサン・テギュの付いたé、アクサン・グラーヴの付いたè,à,ù、アクサン・シルコンフレックスの付いたâ,ê,î,ô,û)なども、下記と似たやり方で入力できます。ただし、対応フォントは大きく異なります)。
 (参考文献:町田和彦編『図説 世界の文字とことば』河出書房新社・2009年、水野弘元著『パーリ語文法』山喜房佛書林・1955年)

(2018/02初版作成、2019/07大幅加筆)

 

■ 使用機器・環境別の読む順序

  • パソコンに、Microsoft OfficeのワープロソフトWordや、無料のLibreOfficeのワープロソフトWriterがインストールされている場合は、手順1→3→4→5と進んでください。一方、それらWordWriterがインストールされていない場合は、手順2→3→4→5と進んでください。
  • パソコンを使うが「操作が苦手だし、なるべくなら長い説明は読みたくない」「理屈よりも手っ取り早く実現させたい」という方や、手順12でうまくいかなかった場合は、手順3→4→5と進んでください。
  • タブレット・スマホを使う場合は、手順12は無関係ですので、手順3→4→5と進んでください。

 

 ※感謝と弁明:勉強会で学びを共にする方々からのご相談や成功報告に深く感謝申し上げます。この記事が以前より充実したものになっているとすれば、皆様のおかげです。とはいえ、誤りはすべて執筆担当者の責任です。MacLinuxをほぼまともに使ったことがなく、タブレット・スマホもあまり使っておりませんので、これらに関しては、教えてくださった方からの情報の他には、ネット情報、短時間触っただけの経験と推測で書いている部分が多く、さまざまな説明不足や間違いがあるかもしれないことをお断りしておきます。

 

■ 手順1(パソコンにWordやWriterがインストールされている場合)

(注:それぞれWindows版で実験しましたのでそれにもとづいて説明しますが、おそらくMac版のWordMac版・Linux版のWriterでも同様だろうと推測します。

 (1).Wordの画面では、[挿入]タブ-[記号と特殊文字]-[その他の記号]を順にクリックしていきます。Writerの画面では、「挿入」メニューから「記号と特殊文字」をクリックします。

 (2).Wordの場合、出てきたウィンドウ内で、「コード体系」をUnicode16進)にし、「フォント」をTimes New Romanなどにします。Writerの場合、出てきたウィンドウ内で、「フォント」をTimes New Romanなどにします。(フォントの選択については手順3を参照してください。)

 (3).そして、Wordの場合、「種類」を「ラテン拡張A」にすれば、āīū が、「ラテン拡張追加」にすれば、ṭ、ḍ、ḷ、ṅ、ṇ、ṁ、ṃ が、「ラテン1補助」にすれば、ñ が、それぞれ一覧の中にありますので、それぞれの文字を選んで、[挿入]ボタンをクリックします。Writerの場合は、「サブセット」を「ラテン拡張文字A」にすれば、āīū が、「ラテン拡張文字追補」にすれば、ṭ、ḍ、ḷ、ṅ、ṇ、ṁ、ṃ が、「ラテン文字1」にすれば、ñ が、それぞれ一覧の中にありますので、それぞれの文字を選んで、[挿入]ボタンをクリックします。各大文字も同様です。

 それでは、次に、手順3へ進んでください。

 

■ 手順2(パソコンにWordやWriterがインストールされていない場合:WindowsかMacで)

▼【Windowsの場合】

 (0).Windowsに標準で入っているMicrosoft-IME(以下MS-IMEと略す)またはATOKを使いますので、現在Google日本語入力など他のものをメインの日本語入力システム(IME)にしている場合は、事前に、MS-IMEまたはATOKに切り替えておいてください(これは一時的で構いません。ここの(3)まで終わったら、元に戻してください)。切り替えの仕方は、Windowsキーを押さえながらスペースキーです。

 (1).「メモ帳」や「ワードパッド」などの新規作成画面(ワープロソフトでもメーラーでも、文字が打てればたいていどのソフトでも可)を出しておいて、MS-IMEなら、その言語バー内の「ツール」をクリックし、「IMEパッド」をクリックします。ATOKなら、その言語バー内の「メニュー」をクリックし、「文字パレット」をクリックします。

 (2).次に、MS-IMEの場合は、出てきたIMEパッドの画面にて、左側メニューで「文字一覧」を選び、「Unicode(基本多言語面)」というフォルダが展開していることを確認し、フォントをTimes New Romanなどにします。ATOKの場合は、出てきたATOK文字パレットの画面で、「Unicode表」のタブに切り替え、フォントをTimes New Romanなどにします。(フォントの選択については手順3を参照してください。)

 (3).そして、MS-IMEの場合は「Unicode」のところを、ATOKの場合は「見出し」のところを、「ラテン文字拡張A」に切り替えれば、āīū が、「ラテン文字拡張追加」に切り替えれば、ṭ、ḍ、ḷ、ṅ、ṇ、ṁ、ṃ が、「ラテン1補助」に切り替えれば、ñ が、それぞれ一覧の中にありますので、それぞれの文字を選んで、[挿入]ボタンをクリックします。各大文字も同様です。なお、IMEパッドやATOK文字パレットのウィンドウは、なるべく大きくしておいたほうが、文字を探しやすいと思います。

 それでは、次に、手順3へ進んでください。

 

▼【Macの場合】

 (1).「テキストエディット」(Dock内の「Launchpad「その他」にあり)や「Pages」(Dock内にあり)の新規作成画面(ワープロソフトでもメーラーでも、文字が打てればたいていどのソフトでも可)を出したら、メニューバーの右の方にある、「A」や「あ」などと表示されている文字入力のアイコンをクリックし、「文字ビューア」あるいは「絵文字と記号を表示」をクリックします。(なお、古いMac の場合で、もし「文字ビューア」というメニューが表示されていなければ、まず先に「"日本語"環境設定を開く」をクリックし、「メニューバーにキーボードビューアと絵文字ビューアを表示」にチェックしておきます。または、システム環境設定アプリから、「キーボード」→「キーボード」タブにある「メニューバーにキーボードビューアと文字ビューアを表示」にチェックを入れておきます。)

 (2).こうして出した画面で、左側メニューに「ラテン文字」または「分音符付きラテン」というカテゴリがあれば、それを選びます。Yosemite以降の新しいMacの場合は、左上の歯車マークをクリックして、「リストをカスタマイズ…」をクリックし、「ヨーロッパアルファベット」の中の「ラテン文字」にチェックを入れて「完了」をクリックしてから、左側メニュー内にできた「ラテン文字」というカテゴリを選びます。

 (3).そして、その「分音符付きラテン」カテゴリ、または、「ラテン文字」カテゴリ内の下部にある「分音符付きラテン文字」のなかから、āīū、ṭ、ḍ、ḷ、ṅ、ṇ、ṁ、ṃ、ñ を探し、それぞれの文字を選びます。各大文字も同様です。Macの場合、アルファベット順なので探しやすいと思います。

 それでは、次に、手順3へ進んでください。

 

(もしも、手順12の憶測的な記述に誤りがあって「見つからず、入力できない」という場合、申し訳ございませんが、どうか諦めず、代替策として手順3→4→5と試して頂ければ実現可能と思いますので、よろしくお願いします。)

 

■ 手順3 フォント(書体)の選択について

 ※ 上記の手順1または2の結果、パーリ語に必要な符号つきアルファベットのみが文字化けする状態になっている場合には、ぜひ、こちらの手順3をお読みいただき、各ソフト・アプリにおいて、フォントの変更を試みてください。

 ※ 一方、いま特に表示に問題がない場合は、ここは、手順というよりも、後々、好みに応じてフォントを変更しようと思った際に必要になる情報だと捉えていただき、今は、参考程度に軽くお読みいただければと思います。

 ※ そもそも手順12を飛ばしてここに来られた場合や、手順12でうまくいかなかった場合は、今は、ここは軽く読んでおき、手順5まで終わりましたら、その際に文字化けがないかどうかを確認し、もし不具合があれば、改めてこの手順3をお読みいただき、各ソフト・アプリにおいて、フォントの変更を試みてください。

 

 さて、パーリ語ローマ字表記に適しているフォントというのは、個人的には、例えば、aと、āaの部分、nと、ṅやñやṇのnの部分などが同じに(違和感なく)見えるフォントだと思います。これは言い換えますと、そのフォントの中に、Unicodeという文字コードのBasic Latin(基本ラテン)にあたる字形だけでなく、Latin-1 Supplement(ラテン文字1補助)、Latin Extended-A(ラテン文字拡張A、ラテン拡張文字A)、Latin Extended Additional(ラテン文字拡張追加、ラテン拡張文字追補)というカテゴリに該当する字形を多く収録していて、上記のパーリ語ローマ字表記に必要な符号つきアルファベットの字形をもれなく収録している欧文フォントだということになります。

 

 ちなみに、上記の手順12で説明したとおり、āīū は「Latin Extended-A」に属し、ṭ、ḍ、ḷ、ṅ、ṇ、ṁ、ṃ は「Latin Extended Additional」に属し、ñ は「Latin-1 Supplement」に属します。ついでに参考までにメモしますと、āなどは「Latin Small Letter ○ with Macron」、ṭなどは「Latin Small Letter ○ with Dot Below」、ṅなどは「Latin Small Letter ○ with Dot Above」、ñは「Latin Small Letter N with Tilde」と言います。

 

 パソコンで何十種類かのフォントを試してみたところ、Unicode対応欧文フォントのすべてが、符号つきアルファベットのすべての字形を収録しているとは限らないことがわかりました。条件を満たすフォントはかなり限定されるとお考えください。そのうち、標準でパソコンに搭載されている可能性の高い、有名どころの例をあげてみますと、セリフフォント(和文フォントの明朝体などに対応する、どちらかと言うと本文用、印刷用途)なら、Times New RomanTimesCambriaMicrosoft SerifEbrimaなど、サンセリフフォント(和文フォントのゴシック体に対応する、どちらかと言うと見出し用、画面表示用途)なら、ArialCalibriMicrosoft Sans SerifSegoe UITahomaHelveticaOsakaMenloなどが該当します。

 

 無料でダウンロードできるフォントでも、条件を満たすものがいくつかあります(GoogleNoto SerifNoto Sansなど)。興味ある方は、シミュレーションできるサイトで色々試して、条件を満たす、お好みのフォントをお探しください。例えば、Google Fontshttps://fonts.google.com/)で、Customの「Type something」と書かれた空欄に、試しに、aāiīuūmṁṃnñtdlAĀIĪUŪMṀṂNÑTDLḶを入れてみて、いわゆる「豆腐」マーク(文字化けを意味する□というマーク)が一つもなく、すべての字形が違和感なく表示されている状態が確認できれば、それは使えるフォントだと分かります。

 

 スマホの場合、OSのバージョンや機器メーカーによって、標準フォントが異なるようです。今このブログ記事をスマホでご覧になっていて、aāiīuūmṁṃnṇñṅtṭdḍlḷAĀIĪUŪMṀṂNṆÑṄTṬDḌLḶが文字化けなく表示されていれば問題ありませんのでフォントの変更は必要ないということになります。

 

 それでは、次に、手順4へ進んでください。

 

■ 手順4

 上記13の作業は、パソコン向けの情報で、しかも、説明的な手順であり、毎回行うのは面倒であり、現実的ではないと思います。ということで、ここからは、パソコン、タブレット・スマホすべてにあてはまる現実的な方法と最後の手順を書きます。次の2通りあります。

 

  • 方法A : どこかのファイルにāīūṁṃṇñṅṭḍḷĀĪŪṀṂṆÑṄṬḌḶを保存しておいて、その都度コピー&ペーストする、という方法です。このやり方で良いという人には、これ以上説明は不要だと思いますので、ここで話は終了です。次の方法Bが「難しい」、「試してみたけど、自分の機器ではうまくいかなかった」という場合は、こちらの方法でやってください。

 

  • 方法B : āīūṁṃṇñṅṭḍḷĀĪŪṀṂṆÑṄṬḌḶを一字ずつ、日本語変換入力システムやユーザー辞書に、覚えやすい便宜的な「よみ」を付けて単語登録しておいて(例えば、āなら「あー」などと付けて登録して)、漢字変換と同様の要領で出す、という方法です。個人的には、いちど手間をかけておけば後々楽なこちらの方法をお勧めします。次の手順5で、機器ごとにやり方を説明しますので、進んでください。

 

■ 手順5

 下記の各▼印で機器・環境別に書いていますが、ひと言で言えば、単語登録方法の説明を書いています。説明の重複を避けるため、先頭の【Windows MS-IMEの場合】以外の説明文には、(以下同上)という形で文章を省略している部分がありますので、機器の種類にかかわらず、皆様全員、先頭の【Windows MS-IMEの場合】の説明文をあらかじめ読んでから、機器別の内容へお進みください。

 なお、手順12を飛ばして来られた方は、今からこのブログ画面上で、右記の文字列(āīūṁṃṇñṅṭḍḷĀĪŪṀṂṆÑṄṬḌḶ)を丸ごとまたは一字ずつ範囲選択・コピーしていただく必要があります。 

(備考:このブログ記事を見ているブラウザから「āīūṁṃṇñṅṭḍḷĀĪŪṀṂṆÑṄṬḌḶ」を一つずつコピーしても全く問題ありませんが、いったんどこかに貼り付けておき、(ブラウザを閉じ、ネット回線を切断してから)後でゆっくり作業しようという場合は、仮の保存・作業場所として、標準で入っている、簡易的な文章編集ソフト・アプリが十分その役目を果たします。Windowsなら「メモ帳」や「ワードパッド」、Macなら「テキストエディット」や「Pages」、iPhone,iPadなら「メモ App」、Androidなら「メモ帳」などです。)

 

▼【Windows MS-IMEの場合】

 タスクバー右の方の言語バー、または、通知領域内の「A」や「あ」というマークを右クリックし、そのMS-IMEのメニュー内の「単語の登録」をクリックして、単語登録画面を出します(Windows10ですと標準で言語バーがないそうですので、その場合は、[Ctrl]キーを押さえながら[F7]キーで単語登録画面を出します)。

 そして、「単語」のところに「ā」を貼り付け(なお、最初に「ā」を範囲選択してから単語登録画面を出せば、すでに入力済みになっています)、「よみ」のところに、例えば「あー」など、自分が覚えやすい便宜的な読み方(ひらがなで2字以上にしておくのが無難です)を入れ、「登録」ボタンをクリックします。おそらく、品詞は何でもいいと思います。これで次からは、文字入力が出来るたいていのソフトで、「あー」と打って、変換操作をすれば、「ā」が変換候補に出てきて、入力することができます。

 これを他の文字(īūṁṃṇñṅṭḍḷĀĪŪṀṂṆÑṄṬḌḶ)についても一字ずつ同様に行っておけばよいわけです。

 他の字の読みの無難な例を示しますと、次の通りです。「ī」は「いー」、「ū」は「うー」、「」や「」は両方とも*「えむ」、「」「ñ」「」は3つとも*「えぬ」、「」は「てぃ」、「」は「でぃ」、「」は「える」。大文字も同じ*読みで大丈夫です。 * 読みが重複していても大丈夫です。変更候補のなかから選んで入力できます。

 

▼【Windows ATOKの場合】

 ATOKバーのメニューから「単語登録」をクリックしますと(または、[Ctrl]+[F7]で)、「ATOK 単語登録」の画面が出ますので、「単語」欄に「ā」を貼り付け(上と同様、最初に「ā」を範囲選択してから画面を出せば、すでにāが入力済み)、「読み」欄に「あー」などを入れます(なお、WindowsATOKでのみ、全角英字1字で読みを登録してもOKであることを確認しております。例えば、単語が「ṁ」で、読みが「m」としても、ちゃんと変換・入力できます。他のOSや環境下ではほぼNGだと思いますのでご注意ください)。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【Windows Google日本語入力の場合】

 Google日本語入力の言語バーの「ツール」をクリックし、「単語登録」をクリックします。そして、「単語」欄に「ā」を貼り付け、「よみ」欄に「あー」などを入れ、「OK」ボタンをクリックします。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【旧来のMacOSの場合】

 メニューバーの右の方にある、「A」や「あ」などと表示されている文字入力のアイコンをクリックして「単語登録/辞書編集」をクリックしますと、「ことえり単語登録」の画面が出ますので、その画面内にて、上部の「登録」ボタンを押し、単語欄に「ā」を貼り付け、よみ欄に「あー」など(必ずひらがなで2字以上)を入れます。下部の「登録」ボタンを押します。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【Yosemite以降のMacOSの場合】

 メニューバーの右の方にある、「A」や「あ」などと表示されている文字入力のアイコンをクリックして「ユーザ辞書を編集」をクリックすると、「キーボード」の「ユーザー辞書」が開きますので、そこの左下「+」ボタンをクリックし、「変換」欄に「ā」を貼り付け、「入力」欄に「あー」など(必ずひらがなで2字以上)を入れます。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【iPhoneiPadの場合】

 「設定」アプリ→「一般」→「キーボード」→「ユーザ辞書」とタップしていきます。そして、「+」ボタンをタップし、「単語」欄に「ā」を貼り付け、「よみ」欄に「あー」など(必ずひらがなで2字以上)を入れ、「保存」をタップします。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【Android Google日本語入力の場合】

 「設定」アプリ→「言語と入力」→「Google日本語入力」「辞書ツール」とタップしていきます。「+」をタップし、「単語」欄に「ā」を貼り付け、「よみ」欄に「あー」を入れます。これで次からは……(以下同上)。

 

▼【Android ATOKの場合】

 「ATOK」アプリ「ユーザー辞書編集」をタップします。右上のメニューをタップして「新規登録」をタップします。「単語」欄に「ā」を貼り付け、「読み」欄に「あー」を入れ、「登録」をタップします。これで次からは……(以下同上)。

 

ご覧くださり、ありがとうございました。ご参考になれば幸いに存じます。
お幸せでありますように。生きとし生けるものが幸せでありますように。

(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 889. (882)

【経典文】
 Na vāhametaṃ tathiyanti brūmi, Yamāhu bālā mithu aññamaññaṃ;
 Sakaṃ sakaṃ diṭṭhimakaṃsu saccaṃ, Tasmā hi bāloti paraṃ dahanti " .
(5)

【正田氏訳】
 わたしは、『これは、真実である』と説くことが、まさしく、ないのです──それを、愚者たちが、互いに他と敵対し、〔『これは、真実である』と〕言うとして。〔愚者たちは〕互いに自らの見解〔だけ〕を、真理と為したのですが、それゆえに、まさに、他者を『愚者である』と決め付けるのです」〔と〕。(5)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Na (na:adv.) 「ないのです。」
 vāhametaṃ < va + ahaṃ + etaṃ どちらも連声(第一語語尾aと第二語語頭aが結合してāに変化、第二語語尾ṃがmに変化)
  va (va = eva:adv.) 「まさしく」
  ahaṃ (ahaṃ:pron.1.sg.nom.) 「わたしは」
  etaṃ (etad:pron.n.sg.nom.) 「『これは」
 tathiyanti < tathiyaṃ + iti 連声(後語語頭iが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  tathiyaṃ (tathiya:n.sg.nom.) 「真実である』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 brūmi (brūti:v.1.sg.pres.) 「説くことが」

(b)
 Yamāhu < yaṃ + āhu 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  Yaṃ (ya:pron.n.sg.acc.) 「それを」
  āhu (āhu:v.3.pl.perf.) 「〔『これは真実である』と〕言うとして。」
 bālā (bāla:a.m.pl.nom.) 「愚者たちが」
 mithu (mithu:adv.) 「敵対し」
 aññamaññaṃ (aññamaññaṃ:adv.) 「互いに他と」

(c)
 Sakaṃ sakaṃ (sakaṃsakaṃ:adv.) 「互いに自らの」
 diṭṭhimakaṃsu < diṭṭhiṃ + akaṃsu 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  diṭṭhiṃ (diṭṭhi:f.sg.acc.) 「見解〔だけ〕を」
  akaṃsu (karoti:v.3.pl.aor.) 「〔愚者たちは〕為したのですが」
 saccaṃ (sacca:n.sg.acc.) 「真実と」

(d)
 Tasmā (taṃ:pron.3.n.sg.abl.) 「それゆえに」
 hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
 bāloti < bālo + iti 連声(後語語頭iが消失)
  bālo (bāla:a.m.sg.nom.) 「『愚者である』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 paraṃ (para:a.m.sg.acc.) 「他者を」
 dahanti (dahati:v.3.pl.pres.) 「決め付けるのです」〔と〕。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 888. (881)

【経典文】
 Sandiṭṭhiyā ceva na vīvadātā, Saṃsuddhapaññā kusalā mutīmā;
 Na tesaṃ koci parihīnapañño, Diṭṭhī hi tesampi tathā samattā.
(4)

【正田氏訳】
 まさしく、しかして、自らの見解によって、〔これらの者たちが〕浄白の者たちと〔成ることは〕ありません。〔もし、彼らが〕清浄の智慧ある者たちと〔成り〕、智者たちと〔成り〕、思慧ある者たちと〔成るなら〕、彼らのなかに、智慧の遍く劣る者は、誰もいなくなります。なぜなら、彼らの見解は、ともに、そのように、〔各自に〕完全であるからです。(4)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sandiṭṭhiyā (sandiṭṭhi:f.sg.instr.) 「自らの見解によって」
 ceva < ca + eva 連声(前語語尾aが消失)
  ca (ca:conj.) 「しかして」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 na (na:adv.) 「ありません。」
 vīvadātā (vīvadāta:a.m.pl.nom.) 「〔これらの者たちが〕浄白の者たちと〔成ることは〕」

(b)
 Saṃsuddhapaññā < Saṃsuddha + paññā コンパウンド
  Saṃsuddha (saṃsuddha < saṃ(pref.) + suddha(a. < pp. of sujjhati):a.comp.) 「〔もし、彼らが〕清浄の」
  paññā (pañña:a.m.pl.nom.) 「智慧ある者たちと〔成り〕」
 kusalā (kusala:a.m.pl.nom.) 「智者たちと〔成り〕」
 mutīmā (mutīmant:a.m.pl.nom.) 「思慧ある者たちと〔成るなら〕」

(c)
 Na (na:adv.) 「いなく」
 tesaṃ (so:pron.3.m.pl.dat./gen.) 「彼らのなかに」
 koci (ka-ci:pron.m.sg.nom.) 「誰も」
 parihīnapañño < parihīna + pañño コンパウンド
  parihīna (parihīna < pp. of parihāyati:a.comp.) 「遍く劣る者は」
  pañño (pañña:a.m.sg.nom.) 「智慧の‥‥なります。」

(d)
 Diṭṭhī (diṭṭhi:f.pl.nom.) 「見解は」
 hi (hi:adv.conj.) 「なぜなら‥‥からです。」
 tesampi < tesaṃ + api 連声(後語語頭aが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  tesaṃ (so:pron.3.m.pl.dat./gen.) 「彼らの」
  api (api:indecl.) 「ともに」
 tathā (tathā:adv.) 「そのように」
 samattā (samatta:a.f.pl.nom.) 「〔各自に〕完全である」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 887. (880)

【経典文】
 " Parassa ce dhammamanānujānaṃ, Bālomako hoti nihīnapañño;
 Sabbeva bālā sunihīnapaññā, Sabbevime diṭṭhiparibbasānā.
(3)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「もし、他者の法(見解)を承認しないでいるとして、〔それによって、他者が〕愚者と〔成り〕、下等の者と〔成り〕、智慧の劣る者と成るなら、まさしく、全ての者たちが、愚者たちと〔成り〕、智慧の極めて劣る者たちと〔成ります〕。これらの者たちは、まさしく、全ての者たちが、〔各自の〕見解に固着しています。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Parassa (para:a.m.sg.dat./gen.) 「他者の」
 ce (ce:conj.) 「〔世尊は答えた〕「もし」
 dhammamanānujānaṃ < dhammaṃ + anānujānaṃ 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(見解)を」
  anānujānaṃ (anānujānant < an(pref.) + anujānant(a. < ppr. of anujānāti):a.m.sg.nom.) 「承認しないでいるとして」

(b)
 Bālomako < Bālo + omako 連声(前語語尾oが消失)
  Bālo (bāla:a.m.sg.nom.) 「〔それによって、他者が〕愚者と〔成り〕」
  omako (omaka:a.m.sg.nom.) 「下等の者と〔成り〕」
 hoti (hoti:v.3.sg.pres.) 「成るなら」
 nihīnapañño < nihīna + pañño コンパウンド
  nihīna (nihīna:a.comp.) 「劣る者と」
  pañño (pañña:a.m.sg.nom.) 「智慧の」

(c)
 Sabbeva < Sabbe + eva 連声(後語語頭eが消失)
  Sabbe (sabba:a.m.pl.nom.) 「全ての者たちが」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 bālā (bāla:a.m.pl.nom.) 「愚者たちと〔成り〕」
 sunihīnapaññā < sunihīna + paññā コンパウンド
  sunihīna (sunihīna < su(pref.) + nihīna(a.):a.comp.) 「極めて劣る」
  paññā (pañña:a.m.pl.nom.) 「智慧の‥‥者たちと〔成ります〕。」

(d)
 Sabbevime < Sabbe + eva + ime どちらも連声(第二語語頭eと語尾aが消失)
  Sabbe (sabba:a.m.pl.nom.) 「全ての者たちが」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
  ime (ayaṃ:pron.m.pl.nom.) 「これらの者たちは」
 diṭṭhiparibbasānā < diṭṭhi + paribbasānā コンパウンド
  diṭṭhi (diṭṭhi:f.comp.) 「〔各自の〕見解に」
  paribbasānā (paribbasāna < ppr. of parivasati:a.m.pl.nom.) 「固着しています。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 886. (879)

【経典文】
 Evampi viggayha vivādayanti, Bālo paro akkusaloti cāhu;
 Sacco nu vādo katamo imesaṃ, Sabbeva hīme kusalāvadānā " .
(2)

【正田氏訳】
 また、このように、〔世の自称智者たちは、自らの見解に〕執持して論争します。しかして、『他者は、愚者である、智者ではない』と言います。いったい、これらの者たちの、どの論が、真理なのですか。まさに、これらの者たちは、まさしく、全ての者たちが、〔自らについて〕『智者である』〔と〕説いています」〔と〕。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Evampi < Evaṃ + api 連声(後語語頭aが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  Evaṃ (evaṃ:adv.) 「このように」
  api (api:indecl.) 「また」
 viggayha (viggaṇhati:v.ger.) 「〔世の自称智者たちは、自らの見解に〕執持して」
 vivādayanti (vivādayati:v.3.pl.pres.) 「論争します。」

(b)
 Bālo (bāla:a.m.sg.nom.) 「愚者である」
 paro (para:a.m.sg.nom.) 「『他者は」
 akkusaloti < akkusalo + iti 連声(後語語頭iが消失)
  akkusalo (akkusala < a(pref.) + kusala(a.) 内連声(kが挿入):a.m.sg.nom.) 「智者ではない』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 cāhu < ca + āhu 連声(前語語尾aが消失)
  ca (ca:conj.) 「しかして」
  āhu (āhu:v.3.pl.perf.) 「言います。」

(c)
 Sacco (sacca:a.m.sg.nom.) 「真理なのです」
 nu (nu:adv.) 「いったい」
 vādo (vāda:m.sg.nom.) 「論が」
 katamo (katama:a.m.sg.nom.) 「どの‥‥か。」
 imesaṃ (imaṃ:pron.m.pl.gen.) 「これらの者たちの」

(d)
 Sabbeva < Sabbe + eva 連声(後語語頭eが消失)
  Sabbe (sabba:a.m.pl.nom.) 「全ての者たちが」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 hīme < hi + ime 連声(前語語尾iと後語語頭iが結合してīに変化)
  hi (hi:adv.conj.) 「まさに」
  ime (ayaṃ:pron.m.pl.nom.) 「これらの者たちは」
 kusalāvadānā < kusalā + vadānā
  kusalā (kusala:a.m.pl.nom.) 「〔自らについて〕『智者である』〔と〕」
  vadānā (vadāna < ppr. of vadati:a.m.pl.nom.) 「説いています」〔と〕。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。


(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 885. (878)

【経典文】
 " Sakaṃsakaṃdiṭṭhiparibbasānā, Viggayha nānā kusalā vadanti;
 Yo evaṃ jānāti sa vedi dhammaṃ, Idaṃ paṭikkosamakevalī so.
(1)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「互いに自らの見解に固着している者たちは、〔自らの見解に〕種々に執持して、〔自らについて〕『智者である』〔と〕説きます。『彼が、このように知るなら、彼は、法(真理)を知っている』『このことを非難している彼は、全一者ではない』〔等々と〕。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sakaṃsakaṃdiṭṭhiparibbasānā < Sakaṃsakaṃ + diṭṭhi + paribbasānā 後ろの+はコンパウンド
  Sakaṃsakaṃ (sakaṃsakaṃ:adv.) 「〔対話者が尋ねた〕「互いに自らの」
  diṭṭhi (diṭṭhi:f.comp.) 「見解に」
  paribbasānā (paribbasāna < ppr. of parivasati:a.m.pl.nom.) 「固着している者たちは」

(b)
 Viggayha (viggaṇhati:v.ger.) 「〔自らの見解に〕執持して」
 nānā (nānā:adv.) 「種々に」
 kusalā (kusala:a.m.pl.nom.) 「〔自らについて〕『智者である』〔と〕」
 vadanti (vadati:v.3.pl.pres.) 「説きます。」

(c)
 Yo (ya:pron.m.sg.nom.) 「『彼が」
 evaṃ (evaṃ:adv.) 「このように」
 jānāti (jānāti:v.3.sg.pres.) 「知るなら」
 sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 vedi (vedeti:v.3.sg.aor.) 「知っている』」
 dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(真理)を」

(d)
 Idaṃ (idaṃ:pron.n.sg.acc.) 「『このことを」
 paṭikkosamakevalī < paṭikkosaṃ + akevalī 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  paṭikkosaṃ (paṭikkosant < ppr. of paṭikkosati:a.m.sg.nom.) 「非難している」
  akevalī (akevalin:a.m.sg.nom.) 「全一者ではない』〔等々と〕。」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在能動分詞
 pp. past participle 過去受動分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声という意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiの過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

(文責:脇坂)

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