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2019年11月

4.13. 大きなまとまりの経 904. (897)


【経典文】
 " Yā kācimā sammutiyo puthujjā, Sabbāva etā na upeti vidvā;
 Anūpayo so upayaṃ kimeyya, Diṭṭhe sute khantimakubbamāno ".
(3)

【正田氏訳】
 それらが何であれ、これらの凡俗なる諸々の主義(世俗:通念化した特定の世界観)は──まさしく、これらの全てに、知ある者は近づかないのです。〔特定の見解に〕近づかない彼が、どうして、〔特定の見解に〕近づく者のところに行くというのでしょう──見られたものについて、聞かれたものについて、愛着〔の思い〕を為さずにいる者が。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yā (ya:pron.f.pl.acc./nom.) 「それらが」
 kācimā < kā + ci + imā 連声(第二語語尾iが消失)
  kā (ka:pron.f.pl.acc./nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
  imā (imaṃ:pron.f.pl.acc./nom.) 「これらの」
 sammutiyo (sammuti:f.pl.acc.) 「諸々の主義(世俗:通念化した特定の世界観)は」
 puthujjā (puthujja:a.f.pl.acc./nom.) 「凡俗なる」

(b)
 Sabbāva < sabbā + eva 連声(後語語頭eが消失)
  sabbā (sabba:a.f.pl.acc.) 「全てに」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 etā (etad:pron.f.pl.acc.) 「これらの」
 na (na:adv.) 「ないのです。」
 upeti (upeti:v.3.sg.pres.) 「近づか」
 vidvā (vidvant = vidvan, vidvā:a.m.sg.nom.) 「知ある者は」

(c)
 Anūpayo (anūpaya:a.m.sg.nom.) 「〔特定の見解に〕近づかない」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼が」
 upayaṃ (upaya:m.sg.acc.) 「〔特定の見解に〕近づく者のところに」
 kimeyya < kiṃ + eyya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  kiṃ (kiṃ:pron.n.sg.acc.) 「どうして」
  eyya (eti:v.3.sg.opt.) 「行くというのでしょう」

(d)
 Diṭṭhe (diṭṭha < pp. of dassati:a.n.sg.loc.) 「見られたものについて」
 sute (suta < pp. of suṇāti:a.n.sg.loc.) 「聞かれたものについて」
 khantimakubbamāno < khantiṃ + akubbamāno 連声(前語語尾ṃがmに変化)、または、khanti + akubbamāno コンパウンド・連声(m挿入)
  khantiṃ/khanti (khanti:f.sg.acc./ f.comp.) 「愛着〔の思い〕を」
  akubbamāno (akubbamāna < a(pref.) + kubbamāna(< ppr. of kubbati):a.m.sg.nom.) 「為さずにいる者が。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「パーリ語研修会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、パーリ語文法解析学習をしています。新たに参加される方、今後参加をご検討の方、または、パーリ語に少しでも興味のある方々のために、当勉強会がどのような教材や資料でどのように学んでいるかについて紹介している記事があります(こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.html)ので、ご関心がありましたらどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.13. 大きなまとまりの経 903. (896)


【経典文】
 " Appañhi etaṃ na alaṃ samāya, Duve vivādassa phalāni brūmi;
 Etampi disvā na vivādayetha, Khemābhipassaṃ avivādabhūmiṃ ".
(2)

【正田氏訳】
 まさに、この〔賞賛〕は、僅かです。〔心の〕静けさ〔を得る〕には、十分ではありません。〔わたしは〕論争の結果を、〔非難と賞賛の〕二者〔だけ〕と説きます。また、このことを見て、論争しないように──論争なき境地を、平安と証見しながら。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Appañhi < appaṃ + hi 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  appaṃ (appa:a.n.sg.nom.) 「僅かです。」
  hi (hi:adv.) 「まさに」
 etaṃ (etad:pron.n.sg.nom.) 「この〔賞賛〕は」
 na (na:adv.) 「ではありません。」
 alaṃ (alaṃ:indecl.) 「十分」
 samāya (sama:m.sg.dat.) 「〔心の〕静けさ〔を得る〕には」

(b)
 Duve (dve:num.pl.acc.) 「〔非難と賞賛の〕二者〔だけ〕と」
 vivādassa (vivāda:m.sg.dat./gen.) 「論争の」
 phalāni (phala:n.pl.acc.) 「結果を」
 brūmi (brūti:v.1.sg.pres.) 「〔わたしは〕~ 説きます。」

(c)
 Etampi < etaṃ + api 連声(後語語頭aが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  etaṃ (etad:pron.n.sg.acc.) 「このことを」
  api (api:indecl.) 「また」
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」
 na (na:adv.) 「ない」
 vivādayetha (vivādayati = vivādeti:v.3.sg.opt.med.) 「論争し…ように」

(d)
 Khemābhipassaṃ < khemaṃ + abhipassaṃ 連声(前語語尾aṃと後語語頭aが結合してāに変化)
  khemaṃ (khemā:f.sg.acc.) 「平安と」
  abhipassaṃ (abhipassant < ppr. of abhipassati(観見する):a.m.sg.nom.) 「証見しながら。」
 avivādabhūmiṃ < avivāda + bhūmiṃ コンパウンド
  avivāda (avivāda:m.comp.) 「論争なき」
  bhūmiṃ (bhūmi:f.sg.acc.) 「境地を」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「パーリ語研修会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、パーリ語文法解析学習をしています。新たに参加される方、今後参加をご検討の方、または、パーリ語に少しでも興味のある方々のために、当勉強会がどのような教材や資料でどのように学んでいるかについて紹介している記事があります(こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.html)ので、ご関心がありましたらどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.13. 大きなまとまりの経 902. (895)


【経典文】
 " Ye kecime diṭṭhiparibbasānā, Idameva saccanti vivādayanti;
 Sabbeva te nindamanvānayanti, Atho pasaṃsampi labhanti tattha ".
(1)

【正田氏訳】
 〔世尊は言った〕「彼らが誰であれ、これらの〔各自の〕見解に固着している者たちは、『これ(自説)こそが、真理である』と〔独善的に〕論争します。彼らは、まさしく、全ての者たちが、〔他者からの〕非難を招き寄せます。しかして、たとえ、そこにおいて、〔一部の〕賞賛を得るとして。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Ye (ya:pron.m.pl.nom.) 「〔世尊は言った〕「彼らが」
 kecime < ke + ci + ime 連声(第二語語尾iが消失)
  ke (ka:pron.m.pl.nom.) 「誰」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
  ime (imaṃ:pron.m.pl.nom.) 「これらの」
 diṭṭhiparibbasānā < diṭṭhi + paribbasānā コンパウンド
  diṭṭhi (diṭṭhi:f.comp.) 「〔各自の〕見解に」
  paribbasānā (paribbasāna < ppr. of parivasati:a.m.pl.nom.) 「固着している者たちは」

(b)
 Idameva < idaṃ + eva 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  idaṃ (idaṃ:pron.n.sg.nom.) 「『これ(自説)…が」
  eva (eva:adv.) 「こそ」
 saccanti < saccaṃ + iti 連声(後語語頭iが消失、前語語尾ṃがnに変化)
  saccaṃ (sacca:n.sg.nom.) 「真理である』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 vivādayanti (vivādayati:v.3.pl.pres.) 「〔独善的に〕論争します。」

(c)
 Sabbeva < Sabbe + eva 連声(後語語頭eが消失)
  sabbe (sabba:a.m.pl.nom.) 「全ての者たちが」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 te (so:pron.3.m.pl.nom.) 「彼らは」
 nindamanvānayanti < nindaṃ + anvānayanti 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  nindaṃ (nindā:f.sg.acc.) 「〔他者からの〕非難を」
  anvānayanti (anvānayati:v.3.pl.pres.) 「招き寄せます。」

(d)
 Atho (atho:indecl.) 「しかして」
 pasaṃsampi < pasaṃsaṃ + api 連声(後語語頭aが消失、前語語尾ṃがmに変化)
  pasaṃsaṃ (pasaṃsā:f.sg.acc.) 「〔一部の〕賞賛を」
  api (api:indecl.) 「たとえ」
 labhanti (labhati:v.3.pl.pres.) 「得るとして。」
 tattha (tattha:adv.) 「そこにおいて」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「パーリ語研修会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、パーリ語文法解析学習をしています。新たに参加される方、今後参加をご検討の方、または、パーリ語に少しでも興味のある方々のために、当勉強会がどのような教材や資料でどのように学んでいるかについて紹介している記事があります(こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.html)ので、ご関心がありましたらどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 901. (894)


【経典文】
 Vinicchaye ṭhatvā sayaṃ pamāya, Uddhaṃsa lokasmiṃ vivādameti;
 Hitvāna sabbāni vinicchayāni, Na medhagaṃ kubbati jantu loke "ti.
(17)

【正田氏訳】
 〔断定的〕判断に立脚して、自ら、〔独善的に〕思量して、その上で、彼は、世において、〔無益な〕論争に至ります。〔しかしながら〕一切の〔断定的〕判断を捨棄して、〔真の慧者たる〕人は、世において、〔一切にたいし〕確執を為さないのです」〔と〕。ということで──(17)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Vinicchaye (vinicchaya:m.sg.loc.) 「〔断定的〕判断に」
 ṭhatvā (tiṭṭhati:v.ger.) 「立脚して」
 sayaṃ (sayaṃ:adv.) 「自ら」
 pamāya (pamināti:v.ger.) 「〔独善的に〕思量して」

(b)
 Uddhaṃsa < Uddhaṃ + sa 連声
  Uddhaṃ (uddhaṃ:indecl.) 「その上で」
  sa (sa = so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 vivādameti < vivādaṃ + eti 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  vivādaṃ (vivāda:m.sg.acc.) 「〔無益な〕論争に」
  eti (eti:v.3.sg.pres.) 「至ります。」

(c)
 Hitvāna (jahāti:v.ger.) 「捨棄して」
 sabbāni (sabba:a.n.pl.acc.) 「〔しかしながら〕一切の」
 vinicchayāni (vinicchaya:m>n.pl.acc.) 「〔断定的〕判断を」

(d)
 Na (na:adv.) 「ないのです」〔と〕。」
 medhagaṃ (medhaga:m.sg.acc.) 「〔一切にたいし〕確執を」
 kubbati (kubbati = karoti:v.3.sg.pres.) 「為さ」
 jantu (jantu:m.sg.nom.) 「〔真の慧者たる〕人は」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 ti (ti = iti:indecl.) 「ということで―」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「パーリ語研修会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、パーリ語文法解析学習をしています。新たに参加される方、今後参加をご検討の方、または、パーリ語に少しでも興味のある方々のために、当勉強会がどのような教材や資料でどのように学んでいるかについて紹介している記事があります(こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.html)ので、ご関心がありましたらどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.12. 小さなまとまりの経 900. (893)


【経典文】
 Sakāyane vāpi daḷhaṃ vadāno, Kamettha bāloti paraṃ daheyya;
 Sayaṃva so medhagamāvaheyya, Paraṃ vadaṃ bālamasuddhidhammaṃ.
(16)

【正田氏訳】
 あるいは、また、自らの道において、断固として〔自らの正しさを〕説いている者は、ここにおいて、誰かしら、他者を、『愚者である』と決め付けるでしょう。彼は、まさしく、自ら、〔他者とのあいだに〕確執をもたらすでしょう──他者を、清浄ならざる法(見解)の愚者と説きつつ。(16)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sakāyane < Saka + ayane コンパウンド・連声(前語語尾aと後語語頭aが結合してāに変化)
  Saka (saka:a.comp.) 「自らの」
  ayane (ayana:n.sg.loc.) 「道において」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 daḷhaṃ (daḷhaṃ:adv.) 「断固として」
 vadāno (vadāna < ppr. of vadati:a.m.sg.nom.) 「〔自らの正しさを〕説いている者は」

(b)
 Kamettha < Kaṃ + ettha 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  Kaṃ (ko:pron.m.sg.acc.) 「誰かしら」
  ettha (ettha:adv.) 「ここにおいて」
 bāloti < bālo + iti 連声(後語語頭iが消失)
  bālo (bāla:a.m.sg.nom.) 「『愚者である』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 paraṃ (para:a.m.sg.acc.) 「他者を」
 daheyya (dahati:v.3.sg.opt.) 「決め付けるでしょう。」

(c)
 Sayaṃva < Sayaṃ + eva 連声(後語語頭eが消失)
  Sayaṃ (sayaṃ:adv.) 「自ら」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 medhagamāvaheyya < medhagaṃ + āvaheyya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  medhagaṃ (medhaga:m.sg.acc.) 「〔他者とのあいだに〕確執を」
  āvaheyya (āvahati:v.3.sg.opt.) 「もたらすでしょう。」

(d)
 Paraṃ (para:a.m.sg.acc.) 「他者を」
 vadaṃ (vadant < ppr. of vadati:a.m.sg.nom.) 「説きつつ」
 bālamasuddhidhammaṃ < bālaṃ + asuddhi + dhammaṃ 前方は連声(前語語尾ṃがmに変化)、後方はコンパウンド
  bālaṃ (bāla:a.m.sg.acc.) 「愚者と」
  asuddhi (asuddhi:f.comp.) 「清浄ならざる」
  dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(見解)の」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「パーリ語研修会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、パーリ語文法解析学習をしています。新たに参加される方、今後参加をご検討の方、または、パーリ語に少しでも興味のある方々のために、当勉強会がどのような教材や資料でどのように学んでいるかについて紹介している記事があります(こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.html)ので、ご関心がありましたらどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

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