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4.14. 迅速の経(1) 922. (915)


【経典文】
 " Pucchāmi taṃ ādiccabandhu, Vivekaṃ santipadañca mahesi;
 Kathaṃ disvā nibbāti bhikkhu, Anupādiyāno lokasmiṃ kiñci ".
(1)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「太陽の眷属よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。偉大なる聖賢よ、遠離を、さらには、寂静の境処を、〔あなたに尋ねます〕。比丘は、どのように見て、涅槃に到達するのですか──何であれ、世において、執取することなく」〔と〕。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Pucchāmi (pucchati:v.1.sg.pres.) 「〔わたしは〕尋ねます。」
 taṃ (tvaṃ:pron.2.sg.acc.) 「あなたに」
 ādiccabandhu < ādicca + bandhu コンパウンド
  ādicca (ādicca:m.comp.) 「「太陽の」
  bandhu (bandhu:m.sg.voc.) 「眷属よ」

(b)
 Vivekaṃ (viveka:m.sg.acc.) 「遠離を」
 santipadañca < santi + padaṃ + ca 前二語はコンパウンド、第三語とは連声(第二語語尾ṃがñに変化)
  santi (santi:f.comp.) 「寂静の」
  padaṃ (pada:n.sg.acc.) 「境処を〔あなたに尋ねます〕。」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
 mahesi < mahā + isi コンパウンド・連声(前語語尾āと後語語頭iが結合してeに変化)
  mahā (mahant:a.comp.) 「偉大なる」
  isi (isi:m.sg.voc.) 「聖賢よ」

(c)
 Kathaṃ (kathaṃ:adv.) 「どのように」
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」
 nibbāti (nibbāti:v.3.sg.pres.) 「涅槃に到達するのですか」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」

(d)
 Anupādiyāno (anupādiyāna < an(pref.) + upādiyāna(< ppr. of upādiyati):a.m.sg.nom.) 「執取することなく」〔と〕。」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 kiñci < kiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kiṃ (ka:pron.n.sg.acc.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

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