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4.14. 迅速の経(5) 926. (919)


【経典文】
 Ajjhattamevupasame, Na aññato bhikkhu santimeseyya;
 Ajjhattaṃ upasantassa, Natthi attā kuto nirattā vā.
(5)

【正田氏訳】
 比丘は、内こそを、寂止するように。他のものから、寂静を探し求めないように。内なる寂静に、自己は存在しません。あるいは、自己ではないものが、どうして、〔存在するというのでしょう〕。(5)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Ajjhattamevupasame < ajjhattaṃ + eva + upasame 連声(第一語語尾ṃがmに変化、第二語語尾aが消失)
  ajjhattaṃ (ajjhatta:a.n.sg.acc.) 「内…を」
  eva (eva:adv.) 「こそ」
  upasame (upasamati:v.3.sg.opt.) 「寂止するように。」

(b)
 Na (na:adv.) 「ない」
 aññato (añña:a.pron.m./n.sg.abl.) 「他のものから」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」
 santimeseyya < santiṃ + eseyya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  santiṃ (santi:f.sg.acc.) 「寂静を」
  eseyya (esati:v.3.sg.opt.) 「求め…ように。」

(c)
 Ajjhattaṃ (ajjhatta:a.n.sg.acc.) 「内なる」
 upasantassa (upasanta < pp. of upasamati:a.n.sg.dat./gen.) 「寂静に」

(d)
 Natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「せん。」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在しま」
 attā (attan:m.sg.nom.) 「自己は」
 kuto (kuto < abl. of ku:adv.) 「どうして〔存在するというのでしょう〕。」
 nirattā (nirattan:a.m.sg.nom.) 「自己でないものが」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」



[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

(文責:脇坂)

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