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カテゴリー「スッタニパータ 4章 八なるものの章」の記事

4.16. サーリプッタの経(8) 969. (962)


【経典文】
 Kaṃ so sikkhaṃ samādāya, ekodi nipako sato;
 Kammāro rajatasseva, niddhame malamattano ".
(8)

【正田氏訳】
 彼は、どのような学びを受持して、〔心が〕専一なる者となり、賢明なる者となり、気づきある者となり、鍛冶屋が銀の〔垢を取り除く〕ように、自己の垢を取り払うのですか」〔と〕。(8)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 kaṃ (kā:pron.f.sg.acc.) 「どのような ~ か」〔と〕。」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 sikkhaṃ (sikkhā:f.sg.acc.) 「学びを」
 samādāya (samādiyati:v.ger.) 「受持して」

(b)
 ekodi (ekodi:a.m.sg.nom.) 「〔心が〕専一なる者となり」
 nipako (nipaka:a.m.sg.nom.) 「賢明なる者となり」
 sato (sata:a.m.sg.nom.) 「気づきある者となり」

(c)
 kammāro (kammāra:m.sg.nom.) 「鍛冶屋が」
 rajatasseva < rajatassa + iva 連声(前語語尾aと後語語頭iでeに重音変化§16②)
  rajatassa (rajata:n.sg.gen.) 「銀の〔垢を取り除く〕」
  iva (iva:indecl.) 「ように」

(d)
 niddhame (niddhamati:v.3.sg.opt.) 「取り払うのです」
 malamattano < malaṃ + attano 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  malaṃ (mala:n.sg.acc.) 「垢を」
  attano (atta = attan:m.sg.gen.) 「自己の」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(7) 968. (961)


【経典文】
 Kyāssa byappathayo assu, kyāssassu idha gocarā;
 Kāni sīlabbatānāssu, pahitattassa bhikkhuno.
(7)

【正田氏訳】
 彼にとって、どのようなものが、諸々の言葉の用途(言葉の用い方)として存するべきですか。彼にとって、どのようなものが、この〔世において〕、諸々の境涯(行為のあり方)として存するべきですか。自己を精励する(全身全霊を挙げて刻苦精励する)比丘にとって、どのようなものが、諸々の戒や掟として存するべきですか。(7)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 kyāssa < ke + assa 連声(前語語尾eと後語語頭aとが結合してyāに変化)
  ke (ka:pron.m.pl.nom.) 「どのようなものが ~ か。」
  assa (so:pron.3.m.sg.dat./gen.) 「彼にとって」
 byappathayo (byappatha:m.pl.nom. (cf. 辞書 p.310 vyappathi = vyappatha)) 「諸々の言葉の用途(言葉の用い方)として」
 assu (atthi:v.3.pl.opt.) 「存するべきです」

(b)
 kyāssassu < ke + assa + assu 連声(第一語語尾eと第二語語頭aとが結合してyāに変化、第二語語尾aが消失)
  ke (ka:pron.m.pl.nom.) 「どのようなものが ~ か。」
  assa (so:pron.3.m.sg.dat./gen.) 「彼にとって」
  assu (atthi:v.3.pl.opt.) 「存するべきです」
 idha (idha:adv.) 「この〔世において〕」
 gocarā (gocara:m.pl.nom.) 「諸々の境涯(行為のあり方)として」

(c)
 kāni (kiṁ:pron.n.pl.nom.) 「どのようなものが ~ か。」
 sīlabbatānāssu < sīla + batāni + attassa コンパウンド・連声(第一語と第二語の間にb挿入、第二語語尾iが消失、第三語語頭aが長音化)
  sīla (sīla:n.comp.) 「諸々の戒や」
  batāni (bata:n.pl.nom.) 「掟として」
  assu (atthi:v.3.pl.opt.) 「存するべきです」

(d)
 pahitattassa < pahita + attassa コンパウンド・連声(前語語尾aが消失)
  pahita (pahita < pp. of padahati:a.comp.) 「精励する(全身全霊を挙げて刻苦精励する)」
  attassa (atta = attan:m.sg.dat./gen.) 「自己を」
 bhikkhuno (bhikkhu:m.sg.dat./gen.) 「比丘にとって」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(6) 967. (960)


【経典文】
 Katī parissayā loke, gacchato agataṃ disaṃ;
 Ye bhikkhu abhisambhave, pantamhi sayanāsane.
(6)

【正田氏訳】
 〔いまだ〕赴かざる方角(涅槃)に赴きつつある者にとって、世において、どれだけの危難があるのですか。辺境の臥坐所において、それらを征服するのが、比丘であるとして。(6)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 katī (kati:pron.m.pl.nom.) 「どれだけの ~ のですか。」
 parissayā (parissaya:m.pl.nom.) 「危難がある」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」

(b)
 gacchato (gacchant < ppr. of gacchati:a.m.sg.dat./gen.) 「赴きつつある者にとって」
 agataṃ (agatā:a.f.sg.acc.) 「〔いまだ〕赴かざる」
 disaṃ (disā:a.f.sg.acc.) 「方角(涅槃)に」

(c)
 ye (ya:pron.m.pl.acc.) 「それらを」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘であるとして。」
 abhisambhave (abhisambhavati:v.3.sg.opt.) 「征服するのが」

(d)
 pantamhi (panta:a.n.sg.loc.) 「辺境の」
 sayanāsane < sayana + āsane コンパウンド・連声(前語語尾aが消失)
  sayana (sayana:n.comp.) 「臥」
  āsane (āsana:n.sg.loc.) 「坐所において」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

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(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(5) 966. (959)


【経典文】
 Uccāvacesu sayanesu, kīvanto tattha bheravā;
 Yehi bhikkhu na vedheyya, nigghose sayanāsane.
(5)

【正田氏訳】
 諸々の高下の臥所において、そこにおいて、どれだけの恐ろしいものたちがいるのですか。音なき臥坐所において、まさに、それらに動揺しないのが、比丘であるとして。(5)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 uccāvacesu < ucca + avacesu コンパウンド・連声(前語語尾aが消失し後語語頭aがāに長音化)
  ucca (ucca:a.comp.) 「高」
  avacesu (avaca:a.n.pl.loc.) 「下の」
 sayanesu (sayana:n.pl.loc.) 「諸々の…臥所において」

(b)
 kīvanto (kīvant, kīvat:m.pl.nom.) 「どれだけの ~ のですか。」
 tattha (tattha:adv.) 「そこにおいて」
 bheravā (bherava:a.m.pl.nom.) 「恐ろしいものたちがいる」

(c)
 yehi (ya:pron.m.pl.instr.) 「それらによって」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘であるとして。」
 na (na:adv.conj.) 「ない」
 vedheyya (vedhati:v.3.sg.opt.) 「動揺し…のが」

(d)
 nigghose (nigghosa:a.n.sg.loc.) 「音なき」
 sayanāsane < sayana + āsane コンパウンド・連声(前語語尾aが消失)
  sayana (sayana:n.comp.) 「臥」
  āsane (āsana:n.sg.loc.) 「坐所において」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(4) 965. (958)


【経典文】
 Bhikkhuno vijigucchato, bhajato rittamāsanaṃ;
 Rukkhamūlaṃ susānaṃ vā, pabbatānaṃ guhāsu vā.
(4)

【正田氏訳】
 〔世俗の生活を〕忌避している比丘にとって、〔無用となり〕遠ざけられた坐所に親近している〔比丘〕にとって、あるいは、木の根元や墓場に〔親近している比丘にとって〕、あるいは、山々の諸々の洞窟において〔臥所を営む比丘にとって〕──(4)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 bhikkhuno (bhikkhu:m.sg.dat./gen.) 「比丘にとって」
 vijigucchato (vijigucchant < ppr. of vijigucchati:a.m.sg.dat./gen.) 「〔世俗の生活を〕忌避している」

(b)
 bhajato (bhajant < ppr.of bhajati:a.m.sg.dat./gen.) 「親近している〔比丘〕にとって」
 rittamāsanaṃ < rittaṃ + āsanaṃ 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  rittaṃ (ritta <pp. of riñcati:a.n.sg.acc.) 「〔無用となり〕遠ざけられた」
  āsanaṃ (āsana:n.sg.acc.) 「坐所に」

(c)
 rukkhamūlaṃ < rukkha + mūlaṃ コンパウンド
  rukkha (rukkha:m.comp.) 「木の」
  mūlaṃ (mūla:n.sg.acc.) 「根元や」
 susānaṃ (susāna:n.sg.acc.) 「墓場に〔親近している比丘にとって〕」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」

(d)
 pabbatānaṃ (pabbata:m.pl.dat./gen.) 「山々の」
 guhāsu (guhā:f.pl.loc.) 「諸々の洞窟において〔臥所を営む比丘にとって〕――」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(3) 964. (957)


【経典文】
 Taṃ buddhaṃ asitaṃ tādiṃ, akuhaṃ gaṇimāgataṃ;
 Bahūnamidha baddhānaṃ, atthi pañhena āgamaṃ.
(3)

【正田氏訳】
 その覚者に、依存なき方に、如なる方に、虚言なき方に、〔兜率天から〕やってきた〔世の〕衆師たる方に、問い尋ねることを義(目的)として、〔わたしは〕やってまいりました──この〔世における〕、多くの結縛された者たちのために。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 taṃ (so:pron.3.m.sg.acc.) 「その」
 buddhaṃ (buddha < pp. of bujjhati:a.m.sg.acc.) 「覚者に」
 asitaṃ (asita:a.m.sg.acc.) 「依存なき方に」
 tādiṃ (tādin:a.m.sg.acc.) 「如なる方に」

(b)
 akuhaṃ (akuha:a.m.sg.acc.) 「虚言なき方に」
 gaṇimāgataṃ < gaṇi + āgataṃ コンパウンド・連声(mが挿入)
  gaṇi (gaṇin:a.comp.) 「〔世の〕衆師たる方に」
  āgataṃ (āgata < pp. of āgacchati:a.m.sg.acc.) 「〔兜率天から〕やってきた」

(c)
 bahūnamidha < bahūnaṃ + idha 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  bahūnaṃ (bahu:a.m.pl.dat.) 「多くの」
  idha (idha:adv.) 「この〔世における〕」
 baddhānaṃ (baddha < pp. of bandhati:a.m.pl.dat.) 「結縛された者たちのために。」

(d)
 atthi (atthin:a.m.sg.nom.) 「義(目的)として」
 pañhena (pañha:m.sg.instr.) 「問い尋ねることを」
 āgamaṃ (āgacchati:v.1.sg.aor.) 「〔わたしは〕やってまいりました――」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(2) 963. (956)


【経典文】
 Sadevakassa lokassa, yathā dissati cakkhumā;
 Sabbaṃ tamaṃ vinodetvā, ekova ratimajjhagā.
(2)

【正田氏訳】
 すなわち、天〔界〕を含む世〔の人々〕に〔はっきりと〕見えるように、眼ある方は、一切の闇を取り除いて、まさしく、独り、〔真の〕喜びに到達しました。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 sadevakassa (sadevaka:a.m.sg.dat./gen.) 「天〔界〕を含む」
 lokassa (loka:m.sg.dat./gen.) 「世〔の人々〕に」

(b)
 yathā (yathā:adv.) 「すなわち ~ ように」
 dissati (dissati < pass. of dassati:v.3.sg.pres.) 「〔はっきりと〕見える」
 cakkhumā (cakkhumant:a.m.sg.nom.) 「眼ある方は」

(c)
 sabbaṃ (sabba:a.n.sg.acc.) 「一切の」
 tamaṃ (tama:n.sg.acc.) 「闇を」
 vinodetvā (vinodeti:v.ger.) 「取り除いて」

(d)
 ekova < eko + eva 連声(後語語頭eが消失)
  eko (eka:a.m.sg.nom.) 「独り」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 ratimajjhagā < ratiṃ + ajjhagā 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  ratiṃ (rati:f.sg.acc.) 「〔真の〕喜びに」
  ajjhagā (adhigacchati:v.3.sg.aor.) 「到達しました。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.16. サーリプッタの経(1) 962. (955)


【経典文】
  " Na me diṭṭho ito pubbe, (iccāyasmā sāriputto) Na suto uda kassaci;
     Evaṃ vagguvado satthā, Tusitā gaṇimāgato.
(1)

【正田氏訳】
 かくのごとく、尊者サーリプッタが〔尋ねた〕「これより過去において、わたしには見たことがなく、あるいは、誰にも聞いたことがありません──このように、麗しき論者にして〔世の〕教師たる方(ブッダ)は、兜率〔天〕からやってきた〔世の〕衆師たる方は。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 na (na:adv.) 「なく」
 me (ahaṃ:pron.1.sg.dat./gen.) 「わたしには」
 diṭṭho (diṭṭha < pp. of dassati:a.m.sg.nom.) 「見たことが」
 ito (ito:indecl.) 「「これより」
 pubbe (pubba:a.n.sg.loc.) 「過去において」
 iccāyasmā < iti + āyasmā 連声(前語語尾tiがccに変化)
  iti (iti:indecl.) 「かくのごとく」
  āyasmā (āyasmant:m.sg.nom.) 「尊者」
 sāriputto (sāriputta:m.sg.nom.) 「サーリプッタが〔尋ねた〕」

(b)
 na (na:adv.) 「ません――」
 suto (suta < pp. of suṇāti:a.m.sg.nom.) 「聞いたことがあり」
 uda (uda:indecl.) 「あるいは」
 kassaci < kassa + ci 連声
  kassa (ko:pron.m.sg.dat./gen.) 「誰に」
  ci (ci:indecl.) 「も」

(c)
 evaṃ (evaṃ:adv.) 「このように」
 vagguvado < vaggu + vado コンパウンド
  vaggu (vaggu:a.comp.) 「麗しき」
  vado (vada:a.m.sg.nom.) 「論者にして」
 satthā (satthar:m.sg.nom.) 「〔世の〕教師なる方(ブッダ)は」

(d)
 tusitā (tusita:m.sg.abl.) 「兜率〔天〕から」
 gaṇimāgato < gaṇi + āgato コンパウンド・連声(mが挿入)
  gaṇi (gaṇin:a.comp.) 「〔世の〕衆師たる方は。」
  āgato (āgata < pp. of āgacchati:a.m.sg.nom.) 「やってきた」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(20) 961. (954)


【経典文】
 Na samesu na omesu, Na ussesu vadate muni;
 Santo so vītamaccharo, Nādeti na nirassatī”ti.
(20)

【正田氏訳】
 牟尼(沈黙の聖者)は、等しい者たちのなかで〔論を説き〕ません。卑下している者たちのなかで〔論を説き〕ません。増長している者たちのなかで〔論を〕説きません。彼は、寂静なる者です。物惜しみ〔の思い〕を離れた者です。〔特定の何かを、執着の対象として〕執取せず、〔排除の対象として〕放棄しません」〔と〕。ということで──(20)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 na (na:adv.) 「〔論を説き〕ません。」
 samesu (sama:a.m.pl.loc.) 「等しい者たちのなかで」
 na (na:adv.) 「〔論を説き〕ません。」
 omesu (oma:a.m.pl.loc.) 「卑下している者たちのなかで」

(b)
 na (na:adv.) 「ません。」
 ussesu (ussa:a.m.pl.loc.) 「増長している者たちのなかで」
 vadate (vadati:v.3.sg.pres.med.) 「〔論を〕説き」
 muni (muni:m.sg.nom.) 「牟尼(沈黙の聖者)は」

(c)
 santo (santa:a.m.sg.nom.) 「寂静なる者です。」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 vītamaccharo < vīta + maccharo コンパウンド
  vīta (vīta < pp. of veti:a.comp.) 「離れた」
  maccharo (macchara:a.n.>m.sg.nom.) 「物惜しみ〔の思い〕を…者です。」

(d)
 nādeti < na + ādeti 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「ず」
  ādeti (ādeti = ādiyati:v.3.sg.pres.) 「〔特定の何かを、執着の対象として〕執取せ」
 na (na:adv.) 「ません」〔と〕。」
 nirassatī”ti < nirassati + iti 連声(後語語頭iが消失して前語語尾のiがīに長音化)
  nirassatī (nirassati:v.3.sg.pres.) 「放棄し」
  iti (iti:indecl.) 「ということで――」

【経典文】
 Anejassa vijānato, Natthi kāci nisaṅkhati;
 Virato so viyārabbhā, Khemaṃ passati sabbadhi. (19)

【正田氏訳】
 〔心に〕動揺なく、〔あるがままに〕識知している者に、作為〔の思い〕は、何であれ、存在しません。〔作為の〕勉励から離れた彼は、一切所に平安を見ます。(19)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 anejassa (aneja:a.m.sg.dat./gen.) 「〔心に〕動揺なく」
 vijānato (vijānant < ppr. of vijānāti:a.m.sg.dat./gen.) 「〔あるがままに〕識知している者に」

(b)
 natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「せん。」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在しま」
 kāci < kā + ci 連声
  kā (kā:pron.f.sg.nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 nisaṅkhati (nisaṅkhati = nisaṅkhiti:f.sg.nom.) 「作為〔の思い〕は」

(c)
 virato (virata < pp. of viramati:a.m.sg.nom.) 「離れた」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 viyārabbhā (viyārabbhā = viyārambha:m.sg.abl.) 「〔作為の〕勉励から」

(d)
 khemaṃ (khema:n.sg.acc.) 「平安を」
 passati (passati:v.3.sg.pres.) 「見ます。」
 sabbadhi (sabbadhi:adv.) 「一切所に」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(19) 960. (953)


【経典文】
 Anejassa vijānato, Natthi kāci nisaṅkhati;
 Virato so viyārabbhā, Khemaṃ passati sabbadhi.
(19)

【正田氏訳】
 〔心に〕動揺なく、〔あるがままに〕識知している者に、作為〔の思い〕は、何であれ、存在しません。〔作為の〕勉励から離れた彼は、一切所に平安を見ます。(19)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 anejassa (aneja:a.m.sg.dat./gen.) 「〔心に〕動揺なく」
 vijānato (vijānant < ppr. of vijānāti:a.m.sg.dat./gen.) 「〔あるがままに〕識知している者に」

(b)
 natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「せん。」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在しま」
 kāci < kā + ci 連声
  kā (kā:pron.f.sg.nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 nisaṅkhati (nisaṅkhati = nisaṅkhiti:f.sg.nom.) 「作為〔の思い〕は」

(c)
 virato (virata < pp. of viramati:a.m.sg.nom.) 「離れた」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 viyārabbhā (viyārabbhā = viyārambha:m.sg.abl.) 「〔作為の〕勉励から」

(d)
 khemaṃ (khema:n.sg.acc.) 「平安を」
 passati (passati:v.3.sg.pres.) 「見ます。」
 sabbadhi (sabbadhi:adv.) 「一切所に」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

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