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カテゴリー「スッタニパータ 4章 八なるものの章」の記事

4.15. 自己の棒の経(18) 959. (952)


【経典文】
 Aniṭṭhurī ananugiddho, Anejo sabbadhī samo;
 Tamānisaṃsaṃ pabrūmi, Pucchito avikampinaṃ.
(18)

【正田氏訳】
 嫉視なく、貪求なく、動揺なく、〔一切にたいし〕一切所に等しくあります。〔心が〕動かない者のことを尋ねられたなら、それを、福利として、〔わたしは〕説きます。(18)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Aniṭṭhurī (aniṭṭhurin:a.m.sg.nom.) 「嫉視なく」
 ananugiddho (ananugiddha:a.m.sg.nom.) 「貪求なく」

(b)
 Anejo (aneja:a.m.sg.nom.) 「動揺なく」
 sabbadhī (sabbadhī,sabbadhi:adv.) 「〔一切にたいし〕一切所に」
 samo (sama:a.m.sg.nom.) 「等しくあります。」

(c)
 Tamānisaṃsaṃ < taṃ + ānisaṃsaṃ 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  taṃ (so:pron.3.m.sg.acc.) 「それを」
  ānisaṃsaṃ (ānisaṃsa:m.sg.acc.) 「福利として」
 pabrūmi (pabrūti:v.1.sg.pres.) 「〔わたしは〕説きます。」

(d)
 Pucchito (pucchita < pp. of pucchati:a.m.sg.nom.) 「尋ねられたなら」
 avikampinaṃ (avikampin:a.m.sg.acc.) 「〔心が〕動かない者のことを」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(17) 958. (951)


【経典文】
 Yassa natthi idaṃ meti, Paresaṃ vāpi kiñcanaṃ;
 Mamattaṃ so asaṃvindaṃ, Natthi meti na socati.
(17)

【正田氏訳】
 彼に、『これは、わたしのものである』という〔思いが〕、あるいは、また、『他者たちのものである』〔という思いが〕、何ものも存在しないなら、彼は、〔自らの心中に〕我執〔の思い〕を見い出すことなく、『わたしには、〔何ものも〕存在しない』と憂い悲しみません。(17)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yassa (ya:pron.m.sg.dat./gen.) 「彼に」
 natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「ない」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在し…なら」
 idaṃ (idaṃ:pron.n.sg.nom.) 「『これは」
 meti < me + iti 連声(後語語頭iが消失)
  me (ahaṃ:pron.1.sg.dat./gen.) 「わたしのものである』」
  iti (iti:indecl.) 「という〔思いが〕」

(b)
 Paresaṃ (para:a.m.pl.dat./gen.) 「『他者たちのものである』〔という思いが〕」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 kiñcanaṃ (kiñcana:a.n.sg.nom.) 「何ものも」

(c)
 Mamattaṃ (mamatta:n.sg.acc.) 「我執〔の思い〕を」
 so (so:pron.3.sg.nom.) 「彼は」
 asaṃvindaṃ (asaṃvindant < a(pref.) + saṃvindant(<ppr. of saṃvindati):a.m.sg.nom.) 「見い出すことなく」

(d)
 Natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「ない』」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「『〔何ものも〕存在し」
 meti < me + iti 連声(後語語頭iが消失)
  me (ahaṃ:pron.1.sg.dat./gen.) 「わたしには」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 na (na:adv.) 「せん。」
 socati (socati:v.3.sg.pres.) 「憂い悲しみま」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(16) 957. (950)


【経典文】
 Sabbaso nāmarūpasmiṃ, Yassa natthi mamāyitaṃ;
 Asatā ca na socati, Sa ve loke na jīyati.
(16)

【正田氏訳】
 彼に、全てにあまねく、名前と形態(名色:現象世界)について、わがものと〔錯視〕されたもの(執着の対象)が存在しないなら、しかして、〔彼は〕所有するものがないので、〔もはや、何ものにも〕憂い悲しまず、彼は、まさに、世において、〔何ものも〕失いません。(16)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sabbaso (sabba:a.n.sg.abl. > adv.) 「全てにあまねく」
 nāmarūpasmiṃ < nāma + rūpasmiṃ コンパウンド
  nāma (nāma:n.comp.) 「名前と」
  rūpasmiṃ (rūpa:n.sg.loc.) 「形態(名色:現象世界)について」

(b)
 Yassa (ya:pron.m.sg.dat./gen.) 「彼に」
 natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「ない」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在し…なら」
 mamāyitaṃ (mamāyita < pp. of mamāyati:a.n.sg.nom.) 「わがものと〔錯視〕されたもの(執着の対象)が」

(c)
 Asatā (asant/asat < a(pref.) + sant/sat(< ppr. of atthi):a.m./n.sg.abl./instr.) 「〔彼は〕所有するものがないので」
 ca (ca:conj.) 「しかして」
 na (na:adv.) 「ず」
 socati (socati:v.3.sg.pres.) 「〔もはや、何ものにも〕憂い悲しま」

(d)
 Sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 ve (ve:adv.) 「まさに」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 na (na:adv.) 「せん。」
 jīyati (jīyati < pass. of jayati:v.3.sg.pres.) 「〔何ものも〕失いま」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

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(文責:脇坂)

 

4.15. 自己の棒の経(15) 956. (949)


【経典文】
 Yaṃ pubbe taṃ visosehi, Pacchā te māhu kiñcanaṃ;
 Majjhe ce no gahessasi, Upasanto carissasi.
(15)

【正田氏訳】
 それが、過去にあるなら、それを、干上がらせなさい。未来においては、何ものも、あなたにとって、有ってはなりません。もし、〔その〕中間(現在)において、〔何ものも〕収め取らないなら、〔あなたは〕寂静なる者となり、〔世を〕歩むでしょう。(15)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yaṃ (ya:pron.n.sg.nom.) 「それが」
 pubbe (pubba:a.n.sg.loc.) 「過去にあるなら」
 taṃ (taṃ:pron.3.n.sg.acc.) 「それを」
 visosehi (visoseti < caus. of vissussati:v.2.sg.imper.) 「干上がらせなさい。」

(b)
 Pacchā (pacchā:adv.) 「未来においては」
 te (tvaṁ:pron.2.sg.gen.) 「あなたにとって」
 māhu < mā + ahu 連声(前語語尾āが消失し後語語頭aがāに長音化)
  mā (mā:adv.) 「なりません。」
  ahu (hoti:v.3.sg.aor.) 「有っては」
 kiñcanaṃ (kiñcana:a.n.sg.nom.) 「何ものも」

(c)
 Majjhe (majjha:a.m.sg.loc.) 「〔その〕中間(現在)において」
 ce (ce:conj.) 「もし~なら」
 no (no = na:adv.) 「ない」
 gahessasi (gaṇhati, gaṇhāti:v.2.sg.fut.) 「収め取ら」

(d)
 Upasanto (upasanta < pp. of upasamati:a.m.sg.nom.) 「〔あなたは〕寂静なる者となり」
 carissasi (carati:v.2.sg.fut.) 「〔世を〕歩むでしょう。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(14) 955. (948)


【経典文】
 Yodha kāme accatari, Saṅgaṃ loke duraccayaṃ;
 Na so socati nājjheti, Chinnasoto abandhano.
(14)

【正田氏訳】
 彼は、この〔世において〕、諸々の欲望〔の対象〕を超え渡ったのであり、世における超え難き執着〔の思い〕を〔超え渡ったのであり〕、彼は、〔もはや、何ものにも〕憂い悲しまず、悩みません──〔渇愛の〕流れを断ち切った、結縛なき者となり。(14)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yodha < yo + idha 連声(後語語頭iが消失)
  yo (ya:pron.m.sg.nom.) 「彼は」
  idha (idha:adv.) 「この〔世において〕」
 kāme (kāma:m.pl.acc.) 「諸々の欲望〔の対象〕を」
 accatari (atitarati:v.3.sg.aor.) 「超え渡ったのであり」

(b)
 Saṅgaṃ (saṅga:m.sg.acc.) 「執着〔の思い〕を〔超え渡ったのであり〕」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世における」
 duraccayaṃ (duraccaya:a.m.sg.acc.) 「超え難き」

(c)
 Na (na:adv.) 「ず」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 socati (socati:v.3.sg.pres.) 「〔もはや、何ものにも〕憂い悲しま」
 nājjheti < na + ajjheti 連声(前語語尾aが消失し後語語頭aがāに長音化)
  na (na:adv.) 「せん。」
  ajjheti (ajjheti:v.3.sg.pres.) 「悩みま」

(d)
 Chinnasoto < chinna + soto コンパウンド
  chinna (chinna < pp. of chindati:a.comp.) 「断ち切った」
  soto (sota:m.sg.nom.) 「〔渇愛の〕流れを」
 abandhano (abandhana:a.m.sg.nom.) 「結縛なき者となり。」


[備考:略字・記号等]
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 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

 

4.15. 自己の棒の経(13) 954. (947)

【経典文】
 Sa ve vidvā sa vedagū, Ñatvā dhammaṃ anissito;
 Sammā so loke iriyāno, Na pihetīdha kassaci.
(13)

【正田氏訳】
 彼は、まさに、知ある者です。彼は、〔真の〕知に至る者です。法(真理)を知って、依存なき者となります。彼は、世において、正しく振る舞う者です。この〔世において〕、誰をも羨みません。(13)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 ve (ve:adv.) 「まさに」
 vidvā (vidvant, vidvan:a.m.sg.nom.) 「知ある者です。」
 sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 vedagū (vedagū:a.m.sg.nom.) 「〔真の〕知に至る者です。」

(b)
 Ñatvā (jānāti:v.ger.) 「知って」
 dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(真理)を」
 anissito (anissita < a(pref.) + nissita(< pp. of nissayati):a.m.sg.nom.) 「依存なき者となります。」

(c)
 Sammā (sammā:adv.) 「正しく」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 iriyāno (iriyāna < ppr. of iriyati:a.m.sg.nom.) 「振る舞う者です。」

(d)
 Na (na:adv.) 「せん。」
 pihetīdha < piheti + idha 連声(前語語尾iが消失し後語語頭iがīに長音化)
  piheti (piheti = pihayati:v.3.sg.pres.) 「羨み」
  idha (idha:adv.) 「この〔世において〕」
 kassaci < kassa + ci 連声
  kassa (ko:pron.m.sg.gen.) 「誰を」
  ci (ci:indecl.) 「も」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(12) 953. (946)

【経典文】
 Saccā avokkamma muni, Thale tiṭṭhati brāhmaṇo;
 Sabbaṃ so paṭinissajja, Sa ve santoti vuccati.
(12)

【正田氏訳】
 牟尼は、真理から外れずして、〔真の〕婆羅門は、陸地に立ちます。彼は、一切を放棄して、彼は、まさに、『寂静者』と呼ばれます。(12)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Saccā (saccā:n.sg.abl.) 「真理から」
 avokkamma (a(pref.) + vokkamma(< ger. of vokkamati):v.ger.) 「外れずして」
 muni (muni:m.sg.nom.) 「牟尼は」

(b)
 Thale (thala:n.sg.loc.) 「陸地に」
 tiṭṭhati (tiṭṭhati:v.3.sg.pres.) 「立ちます。」
 brāhmaṇo (brāhmaṇa:m.sg.nom.) 「〔真の〕婆羅門は」

(c)
 Sabbaṃ (sabba:pron.m./n.sg.acc.) 「一切を」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 paṭinissajja (paṭinissajjati:v.ger.) 「放棄して」

(d)
 Sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 ve (ve:adv.) 「まさに」
 santoti < santo + iti 連声(後語語頭iが消失)
  santo (santa < pp. of sammati:a.m.sg.nom.) 「『寂静者』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 vuccati (vuccati < pass. of vac:v.3.sg.pres.) 「呼ばれます。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(11) 952. (945)

【経典文】
 Gedhaṃ brūmi mahoghoti, Ājavaṃ brūmi jappanaṃ;
 Ārammaṇaṃ pakappanaṃ, Kāmapaṅko duraccayo.
(11)

【正田氏訳】
 〔わたしは〕貪求〔の思い〕を、『大いなる激流』と説きます。〔欲望の〕奔流を、渇望〔の思い〕を、〔『大いなる激流』と〕説きます。〔欲望の〕対象(所縁:欲望の対象として想い描かれた認識対象)を、〔対象の〕妄想(遍計:認識対象を欲望の対象として想い描く心の働き)を、『超え難き欲望の汚泥』〔と説きます〕。(11)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Gedhaṃ (gedha:m.sg.acc.) 「貪求〔の思い〕を」
 brūmi (brūti:v.1.sg.pres.) 「〔わたしは〕説きます。」
 mahoghoti < maho + ogho + iti 前二語はコンパウンド、両方とも連声(第一語語尾oが消失、第三語語頭iが消失)
  maho (mahant:a.comp.) 「『大いなる」
  ogho (ogha:m.sg.nom.) 「激流』」
  iti (iti:indecl.) 「と」

(b)
 Ājavaṃ (ājava:m.sg.acc.) 「〔欲望の〕奔流を」
 brūmi (brūti:v.1.sg.pres.) 「〔『大いなる激流』と〕説きます。」
 jappanaṃ (jappanā:f.sg.acc.) 「渇望〔の思い〕を」

(c)
 Ārammaṇaṃ (ārammaṇa:n.sg.acc.) 「〔欲望の〕対象(所縁:欲望の対象として想い描かれた認識対象)を」
 pakappanaṃ (pakappanā:f.sg.acc.) 「〔対象の〕妄想(遍計:認識対象を欲望の対象として想い描く心の働き)を」

(d)
 Kāmapaṅko < kāma + paṅko コンパウンド
  kāma (kāma:m./n.comp.) 「欲望の」
  paṅko (paṅka:m.sg.nom.) 「汚泥』〔と説きます〕。」
 duraccayo (duraccaya:a.m.sg.nom.) 「『超え難き」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(10) 951. (944)

【経典文】
 Purāṇaṃ nābhinandeyya, Nave khantiṃ na kubbaye;
 Hiyyamāne na soceyya, Ākāsaṃ na sito siyā.
(10)

【正田氏訳】
 古いものを喜ばないように。新しいものにたいし愛着〔の思い〕を為さないように。失われつつあるものについて憂い悲しまないように。惹き付けるもの(渇愛の思い)に依存する者として存さないように。(10)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 purāṇaṃ (purāṇa:a.m./n.sg.acc.) 「古いものを」
 nābhinandeyya < na + abhinandeyya 連声(前語語尾āが消失し後語語頭aがāに長音化)
  na (na:adv.) 「ない」
  abhinandeyya (abhinandati:v.3.sg.opt.) 「喜ば…ように。」

(b)
 nave (nava:a.m./n.sg.loc.) 「新しいものにたいし」
 khantiṃ (khanti, khantī:f.sg.acc.) 「愛着〔の思い〕を」
 na (na:adv.) 「ない」
 kubbaye (kubbati = karoti:v.3.sg.opt.) 「為さ…ように。」

(c)
 hiyyamāne (hiyyamāna = hīyamāna < ppr. of hīyati < pass. of jahati:a.m./n.sg.loc.) 「失われつつあるものについて」
 na (na:adv.) 「ない」
 soceyya (socati:v.3.sg.opt.) 「憂い悲しま…ように。」

(d)
 ākāsaṃ (ākāsa:m.sg.acc.) 「惹き付けるもの(渇愛の思い)に」
 na (na:adv.) 「ない」
 sito (sita:a.m.sg.nom.) 「依存する者として」
 siyā (atthi:v.3.sg.opt.) 「存さ…ように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(9) 950. (943)


【経典文】
 Mosavajje na nīyetha, rūpe snehaṃ na kubbaye;
 Mānañca parijāneyya, sāhasā virato care.
(9)

【正田氏訳】
 虚偽の言葉に導かれないように。形態にたいし愛執〔の思い〕を為さないように。しかして、〔我想の〕思量を遍く知るように。無理強いすることから離れた者となり、〔世を〕歩むように。(9)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Mosavajje < mosa + vajje コンパウンド
  mosa (mosa < musāの重音:a.comp.) 「虚偽の」
  vajje (vajja < grd. of vadati:a.n.sg.loc.) 「言葉に」
 na (na:adv.) 「ない」
 nīyetha (nīyati = niyyati < pass. of neti:v.3.sg.opt.med.) 「導かれ…ように。」

(b)
 rūpe (rūpa:n.sg.loc.) 「形態にたいし」
 snehaṃ (sneha = sineha:m.sg.acc.) 「愛執〔の思い〕を」
 na (na:adv.) 「ない」
 kubbaye (kubbati = karoti:v.3.sg.opt.) 「為さ…ように」

(c)
 Mānañca < mānaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  mānaṃ (māna:m.sg.acc.) 「〔我想の〕思量を」
  ca (ca:conj.) 「しかして」
 parijāneyya (parijānāti:v.3.sg.opt.) 「遍く知るように。」

(d)
 sāhasā (sāhasa:a.n.sg.abl.) 「無理強いすることから」
 virato (virata < pp. of viramati:a.m.sg.nom.) 「離れた者となり」
 care (carati:v.3.sg.opt.) 「〔世を〕歩むように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

 

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