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カテゴリー「スッタニパータ 4章 八なるものの章」の記事

4.14. 迅速の経(8) 929. (922)


【経典文】
 " Cakkhūhi neva lolassa, Gāmakathāya āvaraye sotaṃ;
 Rase ca nānugijjheyya, Na ca mamāyetha kiñci lokasmiṃ.
(8)

【正田氏訳】
 〔世尊は答えた〕「〔両の〕眼による動転ある者(眼による刺激を探し求める者)として、まさしく、存さないように。村の言説(卑俗な話)から、耳を遠ざけるように。しかして、味について貪り求めないように。さらには、世において、何であれ、わがものと〔錯視〕しないように。(8)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Cakkhūhi (cakkhu:n.pl.instr.) 「「〔両の〕眼による」
 neva < na + eva 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「ない」
  eva (eva:adv.) 「まさしく」
 lolassa < lolo + assa 連声(前語語尾oが消失)
  lolo (lola:a.m.sg.nom.) 「動転ある者として」
  assa (atthi:v.3.sg.opt.) 「存さ…ように。」

(b)
 Gāmakathāya < gāma + kathāya コンパウンド
  gāma (gāma:m.comp.) 「村の」
  kathāya (kathā:f.sg.abl.) 「言説(卑俗な話)から」
 āvaraye (āvarati:v.3.sg.opt.) 「遠ざけるように。」
 sotaṃ (sota:n.sg.acc.) 「耳を」

(c)
 Rase (rasa:m.sg.loc.) 「味について」
 ca (ca:conj.) 「しかして」
 nānugijjheyya < na + anugijjheyya 連声(前語語尾aが消失し後語語頭aがāに長音化)
  na (na:adv.) 「ない」
  anugijjheyya (anugijjhati:v.3.sg.opt.) 「貪り求め…ように。」

(d)
 Na (na:adv.) 「ない」
 ca (ca:conj.) 「さらには」
 mamāyetha (mamāyati:v.3.sg.opt.med.) 「わがものと〔錯視〕し…ように。」
 kiñci < kiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kiṃ (ka:pron.n.sg.acc.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世において」



[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。


 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(7) 928. (921)


【経典文】
 " Akittayī vivaṭacakkhu, Sakkhidhammaṃ parissayavinayaṃ;
 Paṭipadaṃ vadehi bhaddante, Pātimokkhaṃ atha vāpi samādhiṃ ".
(7)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「開かれた眼ある方よ、〔あなたは〕述べ伝えてくれました──自ら体現した法(真理)として、危難を取り除くことを。あなたに、幸せ〔有れ〕。〔実践の〕道を説いてください。戒条(波羅提木叉:戒律条項)を〔説いてください〕。しかして、あるいは、また、〔心の〕統一(定:三昧の境地)を〔説いてください〕」〔と〕。(7)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Akittayī (kitteti:v.2.sg.aor.) 「〔あなたは〕述べ伝えてくれました」
 vivaṭacakkhu < vivaṭa + cakkhu コンパウンド
  vivaṭa (vivaṭa:a.comp.) 「「開かれた」
  cakkhu (cakkhu:n.>m.sg.voc.) 「眼ある方よ」

(b)
 Sakkhidhammaṃ < sakkhi + dhammaṃ コンパウンド
  sakkhi (sakkhi:m.comp.) 「自ら体現した」
  dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(真理)として」
 parissayavinayaṃ < parissaya + vinayaṃ コンパウンド
  parissaya (parissaya:m.comp.) 「危難を」
  vinayaṃ (vinaya:m.sg.acc.) 「取り除くことを」

(c)
 Paṭipadaṃ (paṭipadā:f.sg.acc.) 「〔実践の〕道を」
 vadehi (vadati:v.2.sg.imper.) 「説いてください。」
 bhaddante < bhaddaṃ + te 連声(前語語尾ṃがnに変化)
  bhaddaṃ (bhadda:a.n.sg.nom.) 「幸せ〔有れ〕。」
  te (tvaṁ:pron.2.sg.dat.) 「あなたに」

(d)
 Pātimokkhaṃ (pātimokkha = pāṭimokkha:n.sg.acc.) 「戒条(波羅提木叉:戒律条項)を〔説いてください〕。」
 atha (atha:indecl.) 「しかして」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 samādhiṃ (samādhi:m.sg.acc.) 「〔心の〕統一(定:三昧の境地)を〔説いてください〕」〔と〕。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(6) 927. (920)


【経典文】
 Majjhe yathā samuddassa, Ūmi no jāyatī ṭhito hoti;
 Evaṃ ṭhito anejassa, Ussadaṃ bhikkhu na kareyya kuhiñci”.
(6)

【正田氏訳】
 たとえば、海の中では波が立たず、〔全てが〕安立したものとして有るように、このように、〔心が〕安立した動揺なき者として存するように。比丘は、どこにおいても、増長〔の思い〕を為さないように」〔と〕。(6)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Majjhe (majjha:a.m./n.sg.loc.) 「中では」
 yathā (yathā:adv.) 「たとえば~ように」
 samuddassa (samudda:m.sg.dat./gen.) 「海の」

(b)
 Ūmi (ūmi:f.sg.nom.) 「波が」
 no (no = na:adv.) 「ず」
 jāyatī < jāyati (jāyati < pass. of janati:v.3.sg.pres.) 「立た」
 ṭhito (ṭhita < pp. of tiṭṭhati:a.m.sg.nom.) 「〔全てが〕安立したものとして」
 hoti (hoti:v.3.sg.pres.) 「有る」

(c)
 Evaṃ (evaṃ:adv.) 「このように」
 ṭhito (ṭhita < pp. of tiṭṭhati:a.m.sg.nom.) 「〔心が〕安立した」
 anejassa < anejo + assa 連声(前語語尾oが消失)
  anejo (aneja:a.m.sg.nom.) 「動揺なき者として」
  assa (atthi:v.3.sg.opt.) 「存するように。」

(d)
 Ussadaṃ (ussada:m.sg.acc.) 「増長〔の思い〕を」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」
 na (na:adv.) 「ない」
 kareyya (karoti:v.3.sg.opt.) 「為さ…ように」〔と〕。」
 kuhiñci < kuhiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kuhiṃ (kuhiṃ:adv.) 「どこにおいて」
  ci (ci:indecl.) 「も」



[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

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(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(5) 926. (919)


【経典文】
 Ajjhattamevupasame, Na aññato bhikkhu santimeseyya;
 Ajjhattaṃ upasantassa, Natthi attā kuto nirattā vā.
(5)

【正田氏訳】
 比丘は、内こそを、寂止するように。他のものから、寂静を探し求めないように。内なる寂静に、自己は存在しません。あるいは、自己ではないものが、どうして、〔存在するというのでしょう〕。(5)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Ajjhattamevupasame < ajjhattaṃ + eva + upasame 連声(第一語語尾ṃがmに変化、第二語語尾aが消失)
  ajjhattaṃ (ajjhatta:a.n.sg.acc.) 「内…を」
  eva (eva:adv.) 「こそ」
  upasame (upasamati:v.3.sg.opt.) 「寂止するように。」

(b)
 Na (na:adv.) 「ない」
 aññato (añña:a.pron.m./n.sg.abl.) 「他のものから」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」
 santimeseyya < santiṃ + eseyya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  santiṃ (santi:f.sg.acc.) 「寂静を」
  eseyya (esati:v.3.sg.opt.) 「求め…ように。」

(c)
 Ajjhattaṃ (ajjhatta:a.n.sg.acc.) 「内なる」
 upasantassa (upasanta < pp. of upasamati:a.n.sg.dat./gen.) 「寂静に」

(d)
 Natthi < na + atthi 連声(前語語尾aが消失)
  na (na:adv.) 「せん。」
  atthi (atthi:v.3.sg.pres.) 「存在しま」
 attā (attan:m.sg.nom.) 「自己は」
 kuto (kuto < abl. of ku:adv.) 「どうして〔存在するというのでしょう〕。」
 nirattā (nirattan:a.m.sg.nom.) 「自己でないものが」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」



[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(4) 925. (918)

(ご無沙汰しております。今年3月~5月の実習会は、新型コロナウイルス感染症防止対策のために中止となりましたが、6月は誠にありがたく13日土曜日に開催となりました。ただ、当ブログの更新については、担当者の個人的事情で遅くなりお待たせしまして、申し訳ありませんでした。久々の更新で、アップロードのやり方を思い出すのにも時間がかかりました。)

 

【経典文】
 Seyyo na tena maññeyya, Nīceyyo atha vāpi sarikkho;
 Phuṭṭho anekarūpehi, Nātumānaṃ vikappayaṃ tiṭṭhe.
(4)

【正田氏訳】
 それによって、〔他者より〕『より勝る』〔と〕思わないように。『より劣る』〔と〕、しかして、あるいは、また、『等しい』〔と思わないように〕。無数なる形態〔の特質〕を体得したとして、自己を〔あれこれと〕想い描きながら、〔世に〕止住しないように。(4)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Seyyo (seyya:a.m.sg.nom.) 「〔他者より〕『より勝る』〔と〕」
 na (na:adv.) 「ない」
 tena (taṁ:pron.3.n.sg.instr.) 「それによって」
 maññeyya (maññati:v.3.sg.opt.) 「思わ…ように。」

(b)
 Nīceyyo (nīceyya < compar.(比較級) of nīca:a.m.sg.nom.) 「『より劣る』〔と〕」
 atha (atha:indecl.) 「しかして」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 sarikkho (sarikkha:a.m.sg.nom.) 「『等しい』〔と思わないように〕」

(c)
 Phuṭṭho (phuṭṭha < pp. of phusati:a.m.sg.nom.) 「体得したとして」
 anekarūpehi < aneka + rūpehi コンパウンド
  aneka (aneka:a.comp.) 「無数なる」
  rūpehi (rūpa:n.pl.instr.) 「形態〔の特質〕を」

(d)
 Nātumānaṃ < na + ātumānaṃ 連声(前語語尾aが消失)
  Na (na:adv.) 「ない」
  ātumānaṃ (ātuman:m.sg.acc.) 「自己を」
 vikappayaṃ (vikappayant/vikappayat < ppr. of vikappayati = vikappeti:a.m.sg.nom.) 「〔あれこれと〕想い描きながら」
 tiṭṭhe (tiṭṭhati:v.3.sg.opt.) 「〔世に〕止住し…ように。」

 


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。




(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(3) 924. (917)


【経典文】
 Yaṃ kiñci dhammamabhijaññā, Ajjhattaṃ atha vāpi bahiddhā;
 Na tena thāmaṃ kubbetha, Na hi sā nibbuti sataṃ vuttā.
(3)

【正田氏訳】
 内に、しかして、あるいは、また、外に、それが何であれ、法(事象)を〔あるがままに〕証知するように。〔ただし〕それによって、〔心の〕強靭(固着・強制)を為さないように。なぜなら、正しくある者たちの説く、〔まさに〕その、寂滅〔の境処〕(涅槃)ではないからです。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Yaṃ (ya:pron.n.sg.acc./nom.) 「それが」
 kiñci < kiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kiṃ (ka:pron.n.sg.acc./nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 dhammamabhijaññā < dhammaṃ + abhijaññā 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  dhammaṃ (dhamma:n.sg.acc.) 「法(事象)を」
  abhijaññā (abhijānāti:v.3.sg.opt.) 「〔あるがままに〕証知するように。」

(b)
 Ajjhattaṃ (ajjhattaṃ:adv.) 「内に」
 atha (atha:indecl.) 「しかして」
 vāpi < vā + api 連声(後語語頭aが消失)
  vā (vā:adv.) 「あるいは」
  api (api:indecl.) 「また」
 bahiddhā (bahiddhā:adv.) 「外に」

(c)
 Na (na:adv.) 「ない」
 tena (taṁ:pron.3.n.sg.instr.) 「〔ただし〕それによって」
 thāmaṃ (thāma:n.sg.acc.) 「〔心の〕強靱(固着・強制)を」
 kubbetha (karoti:v.3.sg.opt.med.) 「為さ…ように。」

(d)
 Na (na:adv.) 「ない」
 hi (hi:conj.) 「なぜなら~からです。」
 sā (sā:pron.3.f.sg.nom.) 「〔まさに〕その」
 nibbuti (nibbuti:f.sg.nom.) 「寂滅〔の境処〕(涅槃)では」
 sataṃ (sant < ppr. of atthi:a.m.pl.gen.) 「正しくある者たちの」
 vuttā (vutta < pp. of vuccati:a.f.sg.nom.) 「説く」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(2) 923. (916)


【経典文】
 " Mūlaṃ papañcasaṅkhāya, (iti bhagavā) Mantā asmīti sabbamuparundhe;
 Yā kāci taṇhā ajjhattaṃ, Tāsaṃ vinayā sadā sato sikkhe.
(2)

【正田氏訳】
 かくのごとく、世尊は〔答えた〕「虚構の名称(世界認識の道具として虚構された概念)の根元を、『〔わたしは〕存在する』という〔我執の〕一切を、明慧によって破却するように。それらが何であれ、内に、諸々の渇愛〔の思い〕があるなら、それらを取り除くために、常に気づきある者として、〔怠ることなく〕学ぶように。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Mūlaṃ (mūla:n.sg.acc.) 「根元を」
 papañcasaṅkhāya < papañca + saṅkhāya コンパウンド
  papañca (papañca:m.comp.) 「「虚構の」
  saṅkhāya (saṅkhā:f.sg.gen.) 「名称(世界認識の道具として虚構された概念)の」
 iti (iti:indecl.) 「かくのごとく」
 bhagavā (bhagavant:m.sg.nom.) 「世尊は〔答えた〕」

(b)
 Mantā (mantā:f.sg.instr. / manteti:v.ger.) 「明慧によって / 考量して」
 asmīti < asmi + iti 連声(前語語尾iと後語語頭iが結合してīに変化)
  asmi (atthi:v.1.sg.pres.) 「『〔わたしは〕存在する』」
  iti (iti:indecl.) 「という」
 sabbamuparundhe < sabbaṃ + uparundhe コンパウンド・連声(前語語尾ṃがmに変化)
  sabbaṃ (sabba:a.pron.n.sg.acc.) 「〔我執の〕一切を」
  uparundhe (uparundhati:v.3.sg.opt.) 「破却するように。」

(c)
 Yā (ya:pron.f.pl.nom.) 「それらが」
 kāci < kā + ci
  kā (ka:pron.f.pl.nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 taṇhā (taṇhā:f.pl.nom.) 「諸々の渇愛〔の思い〕があるなら」
 ajjhattaṃ (ajjhattaṃ:adv.) 「内に」

(d)
 Tāsaṃ (sā:pron.3.f.pl.dat./gen.) 「それらを」
 vinayā < vinayāya (今のところこの曲用で語尾yaが韻律等の関係で消失したと解釈しています) (vinaya:m.sg.dat.) 「取り除くために」
 sadā (sadā:adv.) 「常に」
 sato (sata:a.m.sg.nom.) 「気づきある者として」
 sikkhe (sikkhati:v.3.sg.opt.) 「〔あるがままに〕証知するように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(1) 922. (915)


【経典文】
 " Pucchāmi taṃ ādiccabandhu, Vivekaṃ santipadañca mahesi;
 Kathaṃ disvā nibbāti bhikkhu, Anupādiyāno lokasmiṃ kiñci ".
(1)

【正田氏訳】
 〔対話者が尋ねた〕「太陽の眷属よ、〔わたしは〕あなたに尋ねます。偉大なる聖賢よ、遠離を、さらには、寂静の境処を、〔あなたに尋ねます〕。比丘は、どのように見て、涅槃に到達するのですか──何であれ、世において、執取することなく」〔と〕。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Pucchāmi (pucchati:v.1.sg.pres.) 「〔わたしは〕尋ねます。」
 taṃ (tvaṃ:pron.2.sg.acc.) 「あなたに」
 ādiccabandhu < ādicca + bandhu コンパウンド
  ādicca (ādicca:m.comp.) 「「太陽の」
  bandhu (bandhu:m.sg.voc.) 「眷属よ」

(b)
 Vivekaṃ (viveka:m.sg.acc.) 「遠離を」
 santipadañca < santi + padaṃ + ca 前二語はコンパウンド、第三語とは連声(第二語語尾ṃがñに変化)
  santi (santi:f.comp.) 「寂静の」
  padaṃ (pada:n.sg.acc.) 「境処を〔あなたに尋ねます〕。」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
 mahesi < mahā + isi コンパウンド・連声(前語語尾āと後語語頭iが結合してeに変化)
  mahā (mahant:a.comp.) 「偉大なる」
  isi (isi:m.sg.voc.) 「聖賢よ」

(c)
 Kathaṃ (kathaṃ:adv.) 「どのように」
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」
 nibbāti (nibbāti:v.3.sg.pres.) 「涅槃に到達するのですか」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」

(d)
 Anupādiyāno (anupādiyāna < an(pref.) + upādiyāna(< ppr. of upādiyati):a.m.sg.nom.) 「執取することなく」〔と〕。」
 lokasmiṃ (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 kiñci < kiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kiṃ (ka:pron.n.sg.acc.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



(文責:脇坂)

4.13. 大きなまとまりの経 921. (914)


【経典文】
 Sa sabbadhammesu visenibhūto, Yaṃ kiñci diṭṭhaṃ va sutaṃ mutaṃ vā;
 Sa pannabhāro muni vippamutto, Na kappiyo nūparato na patthiyo”ti.
(20)

【正田氏訳】
 あるいは、見られたもの、聞かれたもの、あるいは、思われたもの、それが何であれ、彼は、一切の諸法(事象)にたいし、敵対という有り方を離れています。彼は、〔生の〕重荷を降ろした者、牟尼であり、解脱者です。〔時間の〕妄想ある者ではなく、〔作為の〕止息ある者ではなく、〔未来の〕切望ある者ではありません」〔と〕。ということで──(20)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sa (sa = so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 sabbadhammesu < sabba + dhammesu コンパウンド
  sabba (sabba:a.comp.) 「一切の」
  dhammesu (dhamma:m.pl.loc.) 「諸法(事象)にたいし」
 visenibhūto < viseni + bhūto コンパウンド
  viseni (viseni:a.comp.) 「敵対という有り方を離れて」
  bhūto (bhūta < pp. of bhavati:a.m.sg.nom.) 「います。」

(b)
 Yaṃ (ya:pron.n.sg.nom.) 「それが」
 kiñci < kiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kiṃ (ka:pron.n.sg.nom.) 「何」
  ci (ci:indecl.) 「であれ」
 diṭṭhaṃ (diṭṭha < pp. of dassati:a.n.sg.nom.) 「見られたもの」
 va (va = vā:conj.) 「あるいは」
 sutaṃ (suta < pp. of suṇāti:a.n.sg.nom.) 「聞かれたもの」
 mutaṃ (muta < pp. of maññati:a.n.sg.nom.) 「思われたもの」
 vā (vā:conj.) 「あるいは」

(c)
 Sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 pannabhāro < panna + bhāro コンパウンド
  panna (panna:a.comp.) 「降ろした」
  bhāro (bhāra:a.m.sg.nom.) 「〔生の〕重荷を…者」
 muni (muni:m.sg.nom.) 「牟尼であり」
 vippamutto (vippamutta < vi(pref.) + pamutta(< pp. of pamuñcati):a.m.sg.nom.) 「解脱者です。」

(d)
 Na (na:adv.) 「なく」
 kappiyo (kappiya:a.m.sg.nom.) 「〔時間の〕妄想ある者では」
 nūparato < na + uparato 連声(前語語尾aと後語語頭uが結合してūに変化)
  na (na:adv.) 「なく」
  uparato (uparata < pp. of uparamati:a.m.sg.nom.) 「〔作意の〕止息ある者では」
 na (na:adv.) 「せん」〔と〕。」
 patthiyo (patthiya < grd. of pattheti = patthayati:a.m.sg.nom.) 「〔未来の〕切望ある者ではありま」
 ti (ti = iti:indecl.) 「ということで―」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

(文責:脇坂)

4.13. 大きなまとまりの経 920. (913)


【経典文】
 Pubbāsave hitvā nave akubbaṃ, Na chandagū nopi nivissavādī;
 Sa vippamutto diṭṭhigatehi dhīro, Na lippati loke anattagarahī.
(19) 

【正田氏訳】
 諸々の過去の煩悩を捨棄して、諸々の新しい〔煩悩〕を作らずにいる者は、欲〔の思い〕に至る者ではありません──また、〔特定の見解に〕固着して説く者でもありません。彼は、諸々の悪しき見解から解脱した者、〔真の〕慧者です。自己を難じることなき者は、世において、〔何ものにも〕汚されません。(19)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Pubbāsave < pubba + āsave コンパウンド・連声(前語語尾aが消失)
  pubba (pubba:a.comp.) 「過去の」
  āsave (āsava:m.pl.acc.) 「諸々の煩悩を」
 hitvā (jahāti:v.ger.) 「捨棄して」
 nave (nava:a.m.pl.acc.) 「諸々の新しい〔煩悩〕を」
 akubbaṃ (akubbant < a(pref.) + kubbant(< ppr. of kubbati = karoti):a.m.sg.nom.) 「作らずにいる者は」

(b)
 Na (na:adv.) 「せん」
 chandagū (chandagū:m.sg.nom.) 「欲〔の思い〕に至る者ではありま」
 nopi < no + api 連声(後語語頭aが消失)
  no (no = na:adv.) 「せん。」
  api (api:indecl.) 「また」
 nivissavādī < nivissa + vādī コンパウンド
  nivissa (nivissa < ger. of nivisati:a.comp.) 「〔特定の見解に〕固着して」
  vādī (vādin:a.m.sg.nom.) 「説く者でもありま」

(c)
 Sa (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼は」
 vippamutto (vippamutta < vi(pref.) + pamutta(< pp. of pamuñcati):a.m.sg.nom.) 「解脱した者」
 diṭṭhigatehi < diṭṭhi + gatehi コンパウンド
  diṭṭhi (diṭṭhi:f.comp.) 「見解」
  gatehi (gata < pp. of gacchati:a.m.pl.abl.) 「諸々の悪しき…から」
 dhīro (dhīra:m.sg.nom.) 「〔真の〕慧者です。」

(d)
 Na (na:adv.) 「せん。」
 lippati (lippati < pass. of limpati:v.3.sg.pres.) 「〔何ものにも〕汚されま」
 loke (loka:m.sg.loc.) 「世において」
 anattagarahī < an + atta + garahī コンパウンドに否定の接頭辞が付いたという解釈
  an (an:pref.) 「なき」
  atta (atta:m.comp.) 「自己を」
  garahī (garahin:a.m.sg.nom.) 「難じること…者は」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

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