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カテゴリー「スッタニパータ 4章 八なるものの章」の記事

4.15. 自己の棒の経(3) 944. (937)


【経典文】
 Samantamasāro loko, disā sabbā sameritā;
 Icchaṃ bhavanamattano, nāddasāsiṃ anositaṃ.
(3)

【正田氏訳】
 世は、遍きにわたり、真髄なく〔常住ならざるもの〕。一切の方角は、動揺し〔常住ならざるもの〕。自己の居所を求めつつ、〔苦しみに〕取り憑かれていないところを、〔ついに〕見ませんでした。(3)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Samantamasāro < samantaṃ + asāro 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  samantaṃ (samanta:adv. < a.sg.acc.) 「遍きにわたり」
  asāro (asāra:a.m.sg.nom.) 「真髄なく〔常住ならざるもの〕。」
 loko (loka:m.sg.nom.) 「世は」

(b)
 disā (disā:f.pl.nom.) 「方角は」
 sabbā (sabba:a.f.pl.nom.) 「一切の」
 sameritā (samerita:a.f.pl.nom.) 「動揺し〔常住ならざるもの〕。」

(c)
 Icchaṃ (icchant < ppr. of icchati:a.m.sg.nom.) 「求めつつ」
 bhavanamattano < bhavanaṃ + attano 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  bhavanaṃ (bhavana:n.sg.acc.) 「居所を」
  attano (attan:m.sg.gen.) 「自己の」

(d)
 nāddasāsiṃ < na + addasāsiṃ 連声(前語語尾aが消失し後語語頭aがāに長音化)
  na (na:adv.) 「せん」
  addasāsiṃ (dassati:v.1.sg.aor.) 「〔ついに〕見ま…でした。」
 anositaṃ (anosita:a.n.sg.acc.) 「〔苦しみに〕取り憑かれていないところを」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(2) 943. (936)


【経典文】
 Phandamānaṃ pajaṃ disvā, macche appodake yathā;
 Aññamaññehi byāruddhe, disvā maṃ bhayamāvisi.
(2)

【正田氏訳】
 水少なきところの魚たちのように震えおののいている人々を見て、互いに他の者たちと〔敵対し〕反目する者たちを見て、わたしを、恐怖〔の思い〕が侵しました。(2)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Phandamānaṃ (phandamāna < ppr. of phandati:a.f.sg.acc.) 「震えおののいている」
 pajaṃ (pajā:f.sg.acc.) 「人々を」
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」

(b)
 macche (maccha:m.pl.acc.) 「魚たち」
 appodake (appodaka:a.m.pl.acc.) 「水少なきところの」
 yathā (yathā:adv.) 「のように」

(c)
 Aññamaññehi (aññamañña:a.m.pl.instr.) 「互いに他の者たちと」
 byāruddhe (byāruddha:a.m.pl.acc.) 「〔敵対し〕反目する者たちを」

(d)
 disvā (dassati:v.ger.) 「見て」
 maṃ (ahaṃ:pron.1.sg.acc.) 「わたしを」
 bhayamāvisi < bhayaṃ + āvisi 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  bhayaṃ (bhaya:n.sg.nom.) 「恐怖〔の思い〕が」
  āvisi (āvisati:v.3.sg.aor.) 「侵しました。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.15. 自己の棒の経(1) 942. (935)


【経典文】
  " Attadaṇḍā bhayaṃ jātaṃ, janaṃ passatha medhagaṃ;
 Saṃvegaṃ kittayissāmi, yathā saṃvijitaṃ mayā.
(1)

【正田氏訳】
 〔対話者に、世尊は答えた〕「自己の棒(暴力)から、恐怖が生じたのです。見なさい──確執ある人々を。〔まさに、その〕畏怖〔の思い〕を、〔あなたたちに〕述べ伝えましょう──わたしが、〔世の苦しみを〕畏怖した、そのとおりに。(1)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Attadaṇḍā < atta + daṇḍā コンパウンド
  atta (atta = attan:m.comp.) 「自己の」
  daṇḍā (daṇḍa:m.sg.abl.) 「棒(暴力)から」
 bhayaṃ (bhaya:n.sg.nom.) 「恐怖が」
 jātaṃ (jāta < pp. of janati:a.n.sg.nom.) 「生じたのです。」

(b)
 janaṃ (jana:m.sg.acc.) 「人々を。」
 passatha (passati:v.2.pl.imper.) 「見なさい」
 medhagaṃ (medhaga:m.sg.acc.) 「確執ある」

(c)
 Saṃvegaṃ (saṃvega:m.sg.acc.) 「〔まさに、その〕畏怖〔の思い〕を」
 kittayissāmi (kitteti < denom. of kitti:v.1.sg.fut.) 「〔あなたたちに〕述べ伝えましょう」

(d)
 yathā (yathā:adv.) 「そのとおりに」
 saṃvijitaṃ (saṃvijita < pp. of saṃvijjati:a.m.sg.acc.) 「〔世の苦しみを〕畏怖した」
 mayā (ahaṁ:pron.1.sg.instr.) 「わたしが」

 

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(20) 941. (934)


【経典文】
 Abhibhū hi so anabhibhūto, Sakkhidhammamanītihamadassī;
 Tasmā hi tassa bhagavato sāsane, Appamatto sadā namassamanusikkhe" ti.
(20)

【正田氏訳】
 まさに、彼(ブッダ)は、〔煩悩を〕征服する者、〔煩悩に〕征服されざる者です。伝え聞きではない、自ら体現した法(真理)を、〔彼は〕見ました。それゆえに、まさに、世尊である彼の教えにおいて、〔気づきを〕怠ることなく、常に〔彼を〕礼拝しながら、〔彼に〕学ぶように」〔と〕。ということで──(20)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Abhibhū (abhibhū:a.m.sg.nom.) 「〔煩悩を〕征服する者」
 hi (hi:adv.) 「まさに」
 so (so:pron.3.m.sg.nom.) 「彼(ブッダ)は」
 anabhibhūto (anabhibhūta:a.m.sg.nom.) 「〔煩悩に〕征服されざる者です。」

(b)
 Sakkhidhammamanītihamadassī < sakkhi + dhammaṃ + anītihaṃ + adassī 前二語はコンパウンド、その他は連声(第二語かつ第三語の語尾ṃがmに変化)
  sakkhi (sakkhi:m.comp.) 「自ら体現した」
  dhammaṃ (dhamma:m.sg.acc.) 「法(真理)を」
  anītihaṃ (anītiha:a.m.sg.acc.) 「伝え聞きではない」
  adassī (dassati:v.3.sg.aor.) 「〔彼は〕見ました。」

(c)
 Tasmā (ta:pron.n.sg.abl.) 「それゆえに」
 hi (hi:adv.) 「まさに」
 tassa (so:pron.3.m.sg.gen.) 「彼の」
 bhagavato (bhagavant:m.sg.gen.) 「世尊である」
 sāsane (sāsana:n.sg.loc.) 「教えにおいて」

(d)
 Appamatto (appamatta:a.m.sg.nom.) 「〔気づきを〕怠ることなく」
 sadā (sadā:adv.) 「常に」
 namassamanusikkhe < namassaṃ + anusikkhe 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  namassaṃ (namassant < ppr. of namassati:a.m.sg.nom.) 「〔彼を〕礼拝しながら」
  anusikkhe (anusikkhati:v.3.sg.opt.) 「〔彼に〕学ぶように」〔と〕。」
 ti (ti = iti:indecl.) 「ということで。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(19) 940. (933)


【経典文】
 Etañca dhammamaññāya, Vicinaṃ bhikkhu sadā sato sikkhe;
 Santīti nibbutiṃ ñatvā, Sāsane gotamassa na pamajjeyya.
(19)

【正田氏訳】
 しかして、この法(教え)を了知して、比丘は、〔常に正しく〕弁別している者として、常に気づきある者として、〔怠ることなく〕学ぶように。寂滅〔の境処〕(涅槃)を、『〔真の〕寂静である』と知って、ゴータマの教えにおいて、〔気づきを〕怠らないように。(19)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Etañca < etaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  etaṃ (etad:pron.m./n.sg.acc.) 「この」
  ca (ca:conj.) 「しかして」
 dhammamaññāya < dhammaṃ + aññāya 連声(前語語尾ṃがmに変化)
  dhammaṃ (dhamma:m./n.sg.acc.) 「法(教え)を」
  aññāya (ajānāti:v.ger.) 「了知して」

(b)
 Vicinaṃ (vicinant < ppr. of vicinati:a.m.sg.nom.) 「〔常に正しく〕弁別している者として」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」
 sadā (sadā:adv.) 「常に」
 sato (sata < pp. of sarati:a.m.sg.nom.) 「気づきある者として」
 sikkhe (sikkhati:v.3.sg.opt.) 「〔怠ることなく〕学ぶように。」

(c)
 Santīti < santi + iti 連声(後語語頭iが消失し前語語尾iがīに長音化)
  santi (santi:f.sg.nom.) 「『〔真の〕寂静である』」
  iti (iti:indecl.) 「と」
 nibbutiṃ (nibbuti:f.sg.acc.) 「寂滅〔の境処〕(涅槃)を」
 ñatvā (jānāti:v.ger.) 「知って」

(d)
 Sāsane (sāsana:n.sg.loc.) 「教えにおいて」
 gotamassa (gotama:m.sg.gen.) 「ゴータマの」
 na (na:adv.) 「ない」
 pamajjeyya (pamajjati:v.3.sg.opt.) 「〔気づきを〕怠ら…ように。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当会では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

4.14. 迅速の経(18) 939. (932)


【経典文】
 Sutvā rusito bahuṃ vācaṃ, Samaṇānaṃ vā puthujanānaṃ;
 Pharusena ne na paṭivajjā, Na hi santo paṭisenikaronti.
(18)

【正田氏訳】
 あるいは、〔迷える〕沙門たちや凡夫たちの、多くの〔悪しき〕言葉を聞いて悩まされたとして、彼らに、粗暴〔の言葉〕でもって言い返さないように。
 なぜなら、正しくある者たちは、〔他者にたいし〕敵対を為さないからです。(18)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Sutvā (suṇāti:v.ger.) 「聞いて」
 rusito (rusita:a.m.sg.nom.) 「悩まされたとして」
 bahuṃ (bahu:a.f.sg.acc.) 「多くの」
 vācaṃ (vācā:f.sg.acc.) 「〔悪しき〕言葉を」

(b)
 Samaṇānaṃ (samaṇa:m.pl.gen.) 「〔迷える〕沙門たちや」
 vā (vā:adv.conj.) 「あるいは」
 puthujanānaṃ < puthu + janānaṃ コンパウンド
  puthu (puthu:a.comp.) 「凡」
  janānaṃ (jana:m.pl.gen.) 「夫たちの」

(c)
 Pharusena (pharusa:a.m./n.sg.instr.) 「粗暴〔の言葉〕でもって」
 ne (so:pron.3.m.pl.acc.) 「彼らに」
 na (na:adv.) 「ない」
 paṭivajjā (paṭivadati:v.3.sg.opt.) 「言い返さ…ように。」

(d)
 Na (na:adv.) 「ない」
 hi (hi:conj.) 「なぜなら~からです。」
 santo (sant < ppr. of atthi:a.m.pl.nom.) 「正しくある者たちは」
 paṭisenikaronti (paṭisenikaroti:v.3.pl.pres.) 「〔他者にたいし〕敵対を為さ…」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

 

4.14. 迅速の経(17) 938. (931)


【経典文】
 Mosavajje na nīyetha, Sampajāno saṭhāni na kayirā;
 Atha jīvitena paññāya, Sīlabbatena nāññamatimaññe.
(17)

【正田氏訳】
 虚偽の言葉に導かれないように。
 正知の者は、諸々の狡猾なことを為さないように。
 しかして、生き方によって、智慧によって、戒や掟によって、他者を軽んじないように。(17)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Mosavajje < mosa + vajje コンパウンド
  mosa (mosa < musāの重音:a.comp.) 「虚偽の」
  vajje (vajja < grd. of vadati/vajjati:a.n.sg.loc.) 「言葉に」
 na (na:adv.) 「ない」
 nīyetha (nīyati < pass. of neti:v.3.sg.opt.med.) 「導かれ…ように。」

(b)
 Sampajāno (sampajāna:a.m.sg.nom.) 「正知の者は」
 saṭhāni (saṭha:a.n.pl.acc.) 「諸々の狡猾なことを」
 na (na:adv.) 「ない」
 kayirā (karoti:v.3.sg.opt.) 「為さ…ように。」

(c)
 Atha (atha:indecl.) 「しかして」
 jīvitena (jīvita < pp. of jīvati:n.sg.instr.) 「生き方によって」
 paññāya (paññā:f.sg.instr.) 「智慧によって」

(d)
 Sīlabbatena < sīla + batena コンパウンド・連声(b挿入)
  sīla (sīla:n.comp.) 「戒や」
  batena (bata = vata:m./n.sg.instr.) 「掟によって」
 nāññamatimaññe < na + aññaṃ + atimaññe 連声(第一語語尾aが消失し第二語語頭aがāに長音化。第二語語尾ṃがmに変化)
  na (na:adv.) 「ない」
  aññaṃ (añña:a.pron.m.sg.acc.) 「他者を」
  atimaññe (atimaññati:v.3.sg.opt.) 「軽んじ…ように。」

[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

 

4.14. 迅速の経(16) 937. (930)


【経典文】
 Na ca katthitā siyā bhikkhu, Na ca vācaṃ payuttaṃ bhāseyya;
 Pāgabbhiyaṃ na sikkheyya, Kathaṃ viggāhikaṃ na kathayeyya.
(16)

【正田氏訳】
 しかして、比丘は、自慢する者として存さないように。
 さらには、画策された言葉(食を得るためのほのめかしの言葉)を語らないように。
 尊大に学ばないように。
 争議の言説を発しないように。(16)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Na (na:adv.) 「ない」
 ca (ca:conj.) 「しかして」
 katthitā (katthitar:m.sg.nom.) 「自慢する者として」
 siyā (atthi:v.3.sg.opt.) 「存さ…ように。」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」

(b)
 Na (na:adv.) 「ない」
 ca (ca:conj.) 「さらには」
 vācaṃ (vācā:f.sg.acc.) 「言葉を」
 payuttaṃ (payutta < pp. of pa-yuñjati:a.f.sg.acc.) 「画策された」
 bhāseyya (bhāsati:v.3.sg.opt.) 「語ら…ように。」

(c)
 Pāgabbhiyaṃ (pāgabbhiya:n.sg.acc.) 「尊大に」
 na (na:adv.) 「ない」
 sikkheyya (sikkhati:v.3.sg.opt.) 「学ば…ように。」

(d)
 Kathaṃ (kathā:f.sg.acc.) 「言説を」
 viggāhikaṃ (viggāhika:a.f.sg.acc.) 「争議の」
 na (na:adv.) 「ない」
 kathayeyya (kathayati = katheti < denom. of kathā:v.3.sg.opt.) 「発し…ように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

(文責:脇坂)

 

4.14. 迅速の経(15) 936. (929)


【経典文】
 Kayavikkaye na tiṭṭheyya, Upavādaṃ bhikkhu na kareyya kuhiñci;
 Gāme ca nābhisajjeyya, Lābhakamyā janaṃ na lapayeyya.
(15)

【正田氏訳】
 〔生活を〕売買に立脚しないように。
 比丘は、どこにおいても、批判を為さないように。
 しかして、村において、〔在家者たちと〕交際しないように。
 利得(行乞の施物)を欲して、人と談じないように。(15)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Kayavikkaye < kaya + vikkaye コンパウンド
  kaya (kaya:m.comp.) 「買に」
  vikkaye (vikkaya:m.sg.loc.) 「売」
 na (na:adv.) 「ない」
 tiṭṭheyya (tiṭṭhati:v.3.sg.opt.) 「立脚し…ように。」

(b)
 Upavādaṃ (upavāda:m.sg.acc.) 「批判を」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」
 na (na:adv.) 「ない」
 kareyya (karoti:v.3.sg.opt.) 「為さ…ように。」
 kuhiñci < kuhiṃ + ci 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  kuhiṃ (kuhiṃ:adv.) 「どこにおいて」
  ci (ci:indecl.) 「も」

(c)
 Gāme (gāma:m.sg.loc.) 「村において」
 ca (ca:conj.) 「しかして」
 nābhisajjeyya < na + abhisajjeyya 連声(前語語尾aが消失し後語語頭aがāに長音化)
  na (na:adv.) 「ない」
  abhisajjeyya (abhisajjati:v.3.sg.opt.) 「〔在家者たちと〕交際し…ように。」

(d)
 Lābhakamyā < lābha + kamyā コンパウンド
  lābha (lābha:m.comp.) 「利得(行乞の施物)を」
  kamyā (kamyā:adv.) 「欲して」
 janaṃ (jana:m.sg.acc.) 「人と」
 na (na:adv.) 「ない」
 lapayeyya (lapayati = lapeti < caus. of lapati:v.3.sg.opt.) 「談じ…ように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。



 

 

(文責:脇坂)

 

4.14. 迅速の経(14) 935. (928)


【経典文】
 Nindāya nappavedheyya, Na uṇṇameyya pasaṃsito bhikkhu;
 Lobhaṃ saha macchariyena, Kodhaṃ pesuṇiyañca panudeyya.
(14)

【正田氏訳】
 〔他者の〕非難に動揺しないように。
 比丘は、〔他者から〕賞賛されたとして、傲慢にならないように。
 物惜しみ〔の思い〕と共に、貪欲〔の思い〕を〔除き去るように〕。
 忿激〔の思い〕を、さらには、中傷〔の思い〕を、除き去るように。(14)

【文法的分解と単語訳】
(a)
 Nindāya (nindā:f.sg.instr./abl./dat./gen./loc.) 「〔他者の〕非難に」
 nappavedheyya < na + pavedheyya 連声(p挿入)
  na (na:adv.) 「ない」
  pavedheyya (pavedhati:v.3.sg.opt.) 「動揺し…ように。」

(b)
 Na (na:adv.) 「ない」
 uṇṇameyya (uṇṇamati:v.3.sg.opt.) 「傲慢になら…ように。」
 pasaṃsito (pasaṃsita < pp. of pasaṃsati:a.m.sg.nom.) 「〔他者から〕賞賛されたとして」
 bhikkhu (bhikkhu:m.sg.nom.) 「比丘は」

(c)
 Lobhaṃ (lobha:m.sg.acc.) 「貪欲〔の思い〕を〔除き去るように〕。」
 saha (saha:prep.) 「と共に」
 macchariyena (macchariya:n.sg.instr.) 「物惜しみ〔の思い〕」

(d)
 Kodhaṃ (kodha:m.sg.acc.) 「忿激〔の思い〕を」
 pesuṇiyañca < pesuṇiyaṃ + ca 連声(前語語尾ṃがñに変化)
  pesuṇiyaṃ (pesuṇiya:n.sg.acc.) 「中傷〔の思い〕を」
  ca (ca:conj.) 「さらには」
 panudeyya (panudati:v.3.sg.opt.) 「除き去るように。」


[備考:略字・記号等]
 m. masculine 男性
 n. neutral 中性
 f. feminine 女性
 pron. pronoun 代名詞
 a. adjective 形容詞
 num. numeral 数詞
 ppr. present participle 現在(能動)分詞
 pp. past participle 過去(受動)分詞
 grd. gerundive 義務分詞,未来受動分詞
 v. verb 動詞
 indecl. indeclinable 不変化詞(不変語):副詞,接続詞,間投詞,前置詞を含む総称
 adv. adverb 副詞
 conj. conjunction 接続詞
 interj. interjection 間投詞
 prep. preposition  前置詞
 pref. prefix 接頭辞
 suf. suffix 接尾辞
 1. the first person 一人称
 2. the second person二人称
 3. the third person三人称
 sg. singular 単数
 pl. plural 複数
 nom. nominative 主格
 acc. accusative 対格
 inst. instrumental 具格
 abl. ablative 奪格
 dat. dative 与格
 gen. genitive 属格
 loc. locative 処格
 voc. vocative 呼格
 comp. compound コンパウンド(複合詞,合成語)であり、次の語句と、語基等のまま(数・格なし)で結合していることを表す。
 pres. present 現在
 aor. aorist アオリスト
 pf. perfect 完了
 fut. future 未来
 imper. imperative 命令形
 opt. optative 願望法
 cond. conditional 条件法
 ger. gerund 連続体
 inf. infinitive 不定体
 pass. passive 受動動詞
 caus. causative 使役動詞
 denom.  denominative 名動詞
 med. medium 為自言(middle)(refl. reflective 反照態)

 < 二語以上が結合している場合の構成や、単語の成り立ちを後ろに記す。
  (例:「kuhiñci < kuhiṁ + ci 連声」は、kuhiñciはkuhiṁとciの連声であるという意味)
  (例:「sata < pp. of sarati」は、sataはsaratiという動詞の過去受動分詞であるという意味)
 > 解釈や修飾語句による性の変化を記す。
  (例:「n.>m.」は、本来中性だがここでは男性の曲用をしているという意味)
 / 他にも可能な訳や解釈を後ろに記す。
  (例:「dat./gen.」は、与格と属格両方の可能性があるという意味)

 なお、タイトルに記している二つの偈番号は、一つめが底本であるタイ版[国際版]パーリ三蔵(第六結集版を改訂したもの)に記載されている偈番号で、二つめの括弧内の番号がPTS版の偈番号です。

 当勉強会(神戸ダンマサークル「関西パーリ語実習会」)では、現在、スッタニパータ4章のパーリ語原文を教材に、文法解析学習をしています。教材や資料についてご関心がありましたら、こちらのURL→http://tipitaka.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-f276bb.htmlの記事をどうぞご覧ください。

 

 

 

(文責:脇坂)

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